• 「猫の手貸します」

高校卒業後、アルバイトをしながら功武館で空手修行に励む。自分の新たな人生のスタートだった。恥ずかしながら始めた動機は、あるジャーナリストの米国留学の逸話をなぞり、筆者が「空手が役に立った」と述べていたことを鵜呑みにしたものだった。そんなきっかけで始めた空手。つらい修行の毎日だったが、「投げ出したら自分の人生は負けだ」と、思い詰めた気持ちで稽古に打ち込む。恩師・三島功先生は甘えを許さず、厳しく接してくれた。辛さの半面、日ごとに心身ともに変化する自分に気が付く。いつしか、それは自信となり、道場に自分の居場所を見出すようになる。タイ人とのリングでの勝負は、圧倒的な敗戦。口の中は傷だらけ、焼き肉のタレが沁みた。でも、サバサバした気持ちだった。柔道・空手と、武道の世界に接して約30年。丈夫な体と、精神的な芯を得た。「武士道」は何物にも代えがたい。戦前に世界に発信された新渡戸稲造著『武士道』に記されているが、日本の風土から誕生した武士道。仏教・儒教・神道の流れを汲んでいる。「潔さ」や「義」「勇」「仁」「礼」「誠」などの考え方には、いざという時に何度も助けられている。現在も引き続き、5段位・師範という立場で、門下生たちと汗を流している。先人への感謝を込めて、継承者として後世につなぐ役割を担いたい。
【空手道功武館HP】http://www.oragamachi.jp/shumi_naraigoto/koubukan/index.html
【空手道場に通うお父さん】http://sports.geocities.yahoo.co.jp/gl/minhphujp