• 「猫の手貸します」

4月13〜14日の午前・午後、
自治体議会政策学会主催の研修に参加。

自治体議会政策学会の関連会社
イマジン出版社HP

名古屋国際会議場で開催された。
名古屋国際会議場HP

7人の講師による講座が行なわれた。
★13日
■都市の耐震性とネットワーク
 【講師】福和伸夫(名古屋大大学院教授)
■自治体再構築と財政
 【講師】松下圭一(法大名誉教授)
■多治見の挑戦―総合計画とマニフェスト
 【講師】西寺雅也(多治見市長)
■ホームページから見える自治体の姿
 ―市民にやさしいウェブ診断

 【講師】小林隆(東海大講師)
★14日
■いますぐできる議会改革
 【講師】竹下譲(四日市大学総合政策学部長)
■地域自立をめざす福祉―コミュニティケアの可能性
 【講師】平野隆之(日本福祉大学社会福祉学部教授)
■歴史に見る経済再生と行政改革
 【講師】童門冬二(作家)
(以上、敬称略)

以下、主な内容。

■都市の耐震性とネットワーク
現在の私たちの震災に対する備え、
神戸の震災時に起きた事実、
震災の影響が社会にもたらす影響などの内容。

●ペリーが来た時、
地震が連続して起き、大きな被害を受けていた。
開国に至る経緯に大地震が大きく係わっている。

また、関東大震災後、
経済が打撃を受け、恐慌から軍部の台頭、
第2次大戦へと流れていく経緯。

大地震が歴史を大きく動かしてきた。

●東京の大手町付近。
関東大震災で被害が大きかった所。
ここは神田川を埋め立ててできた地盤の上に立つ。
言うまでもなく経済の要所。
大震災がもし起きた場合、
日本経済に壊滅的打撃をもたらす可能性がある。

●「生き残った人はすぐ行動を」
阪神大震災直後、人々は表に出ているだけで
突っ立っている人が多かった。
生きて埋められている人が多いにもかかわらず…。

「すぐ助けろ」と誰かが大声で促し、
人々を行動させなければならない。

●留意点
・市役所の家具転倒防止をしているか
・全体像を見た対策をしている人はほとんどいない
・木造密集地域では火の竜巻
・液状化…埋立地など

●生き埋めで生き延びた人
自力か家族、隣人・友人による。
※救助隊は役に立たない

●被災後に駆けつけた公務員を役職別でみると、
役職高い人たちは出てきた。
低い人は出てこなかった。

議員も公務員も、自分の震災対策ができていない。
これで市民に向けて震災対策を言える立場にあるのか。

■自治体再構築と財政
地方自治の権威である松下先生の話。

地方分権一括法で自治体のおかれた環境は大きく変化。
財政が逼迫する中、ダウンサイジングが必要。

2000年の分権一括法後、
国と地方は対等協力の関係
それまでは権限無き行政だった

自治体法務室を作った自治体も―三鷹市・武蔵野市ほか。

スクラップ&スクラップ&スクラップ…
民間企業はこれをやってきた。
できるだけ無駄な仕事はやらない。
新規の仕事はできるだけ先送りし、借金はすぐに返す。
議員の仕事は予算規模の縮小を

■多治見の挑戦―総合計画とマニフェスト
多治見市長による、マニフェストを用いた市政改革の話。

●多治見市は愛知県と岐阜県の県境に位置する。
陶磁器の地場産業と大都市名古屋のベッドタウン。

人口増は止まった。そして減少へ。
どうやって自治体そのものをダウンサイジングするか。
「何かを作る」ということは一言も言わない選挙だった。

●2003年 マニフェスト公表。
・新たな視点
・総合計画の重要性
・政治的課題

●市政の基本スタンス
・放漫財政からの脱出
・市民参加
・情報公開の徹底
・アカウンタビリティ、コンプライアンス
・政策法務の充実
・計画的行政運営

●市民参加の場合、
個々の得意な課題のみ発言。
その他は口をつぐんでしまい議論にならない。
情報公開の徹底で対応。

●これからの課題
・行政と市民の役割分担
・行政の仕事はコミュニティビジネスの宝庫
・議会と行政の関係

■ホームページから見える自治体の姿
 ―市民にやさしいウェブ診断

E-JAPANは商業のために? 本当にこれでいいのか?

●シアトルで電子会議室
立地の悪いまちだが元気がいい。
情報公開のせいではないか。
行動している…FANDがある。
毎年マスタープランを変えている。

●市民に優しいウェブサイト。
目の見えない人へユーザビィリティ調査。
総務省のアクセシビリティ研究会。

インターネットには匿名性は無い。
すべてのパソコンに一個づつアドレスがある。
どの機会でアクセスしたかはわかる

しかし相手がどんな人で、
どんな状況で利用しているかはわからない。

●電子会議室
最近機能しなくなったが職員は実名で住民と交流。
そろそろSNSに変わっていくだろう。

●E-JAPANは市場モデルへ
市場モデルから貢献モデルへ。

職員の力だけでも情報は集まらない
住民が出している。今60%以上の利用者。
小さな自治体が出遅れている。
一人ひとりが情報を出す時代。

情報社会の価値観による
貢献モデル=市民参加型アクセシビリティ
地域情報が行政のHPに反映すること

■いますぐできる議会改革
竹下氏による地方議会の活性化に関する話。

●議員は法令よりも「アマチュア」に徹し、
市民の代表となって行動すべき。

●政治家とは
「住民のために、政治上の意思を行使したいという
 度胸(傲慢さ・ずうずうしさ)を持ち合わせている人々」

●議会が機能すれば住民投票はいらない。

●提案
・会議規則を自らの手で作成。
・常任委員会では議員同士で議論を
・一般質問は、政策評価の観点で個々の議員ではなく、
 議会全体で論議を。

■地域自立をめざす福祉―コミュニティケアの可能性
NPOなどを通じ、現場を調査研究し、
中央政府に対して提言を重ねてきた平野氏の話。

●地域福祉については、重要であるにもかかわらず、
国の考えがはっきりしていないので地域にお金が流れない。

●介護保険は国一律の仕組み。
在宅と施設どちらを重視するのかの議論に終始。

●議員が訴える際の政策スローガンに、
「福祉の自給率を高める」はどうか。
自分の地域はどんなタイプの選択をしているのか
これをデータの裏づけをもって理解する

改正介護保険にも「地域ケア」の言葉が入った。

包括介護支援センター(さいたまは25箇所)
←在宅介護支援センター

「地域密着型サービス」これも条文に位置づけられた。
制度の名前として登場するのは驚きだ。
小規模・多機能の施設が必要だ。

●留意点
①生活権益をどう設定したのか
圏域ごとに異なる実態

なぜこの設定か。どんな違いがあるのか。
これをチェックするべき。
均等なサービスを目ざすのではなく、圏域ごとに。

②なぜ在宅ケアではなく「地域ケア」か
これかまでの「施設」「在宅」の区分からの転換。

デイサービス・ショートステイ
 ↓
グループホーム・ユニットケア
 ↓
多様なユニットケア

家族を介護に縛ることは政策的に許されない時代だが、
施設を作ることも許されない。多機能の施設の必要性。

地域になじんだものを活用。
お金を出して作るのではなく、地域にあるもので。

●悪質なグループホームの増えてきた。
質が求められている。

保険者(市町村)が質のチェックをする。
数だけではなく、これからは質を問うべき。
市町村には、質を評価する新たな業務ができたのだ。

CLC(NPO法人)HP

■歴史に見る経済再生と行政改革
作家の童門氏の話は、
現在に通じる話で大変興味深いものがあった。

●江戸期の繁栄と危機時の改革を時系列で見ると、
元禄時代↓
     (1)享保の改革↓
安永時代↓
     (2)寛政の改革↓
文化文政時代↓
     (3)天保の改革↓

このうち、(2)(3)の両改革時に要人が参考にしたのが、
徳川吉宗による(1)享保の改革だった。

●吉宗は今で言う「和歌山県知事」。
そこでの成功例を幕府(国政)に当てはめ、改革を進めた。

財政的に厳しいだけではなく、
元禄時代のバブルにより、
人々に「心の赤字が生じた」と分析。 

吉宗の時、江戸では人口が倍に増えている。
国内の食糧難を農業生産高の低下を、
海外からの農業技術を取り入れることで
効率化し乗り切った。

鎖国時だったが、長崎から交易を行なったものである。

●その吉宗が参考にしたのが信長・秀吉・家康の改革。
信長はマーケティングをし庶民の意向を得る。

庶民が求めるものは、
・平和
・豊かさ
・平等
・正しさ
・自己向上=生涯学習
・得たものを表現すること

これらの優先順位をつけ、全国統一をめざした。
仕事を「組織」で行なったもの特徴だ。

●物事を進める際の抵抗要因
もの…物理的
しくみ…制度
こころ…意識

意識改革を妨げるのは、
こころ…意識の問題が大きい。
一所懸命…土地にしがみつくことは、
総論賛成=各論反対の行動へ導く。
信長はこの思想を叩き壊そうとした。

●この流れを吉宗が知っていた。

吉宗の改革を組織・人事の観点からみると、
吉宗は組織に手をつけず、人事は2つだけ変えたのみ。
江戸町奉行への大岡越前の抜擢と大奥のリストラだけ。
また、老中たちに口頭試問し、自分の気づきをもたらす。

目安(船の羅針盤)箱は、和歌山城で実験済み。
役人のあり方を改めた。

【政調費】
受講料:35000円
交通費:21000円(新幹線と都内・名古屋市内の鉄道)
宿泊代:会派所属議員まとめて支払い