• 変わらず ブレず 前へ 未来へ。

 
重たい判断だった。
つい先日の予算委員会での審議。
北与野駅の議案の一つに、
再開発ビル管理会社の
「与野都市開発(株)」(第3セクター)への
財政支援関連の補正予算があった。
その金額にして「14億円」。
(5億円の出資/9億円の債権購入)
現在のさいたま市の財政状況。
進行中の行政改革で経験済みであるが、
「総論賛成、各論反対」の中、
数億円の削減をすることすら大変な昨今だ。
そして来年度予算については、
188億円もの財源不足が市長から公表されている。
こんな時期に、
14億円もの公金を投じるのである。
いずれ回収されることが前提とは言え、
大変な判断であり軽々しく判断はできない。
この補正予算議案の審議に臨むまでの間。
議案書や資料に目を通すだけではなく、
職員ヒアリング等に時間を費やしてきた。
12月9日の予算審議においても質疑をした。
こうした事を積み重ねた結果、
判断は「賛成」。
その条件として、
次の3点に照らして妥当と判断したものである。
①公益性
②将来性
③団体の自助努力
以下、その観点と行政の考えを簡単に記したい。
①公益性
北与野駅前に位置するとともに、
さいたま新都心に隣接するなど、
将来にわたり本市の要所といえる。
駅前は、そのまちの顔でもあり、
このまちづくりにおいて
本市が外郭団体を通じて
役割を果たすことは、
今後においても公益性があると判断できる。
昨今の経済状況では、
民間市場に任せるだけでは、
様々な懸念(好ましくないテナントの入居など)
が想定されることから、
行政の関与もやむを得ないと思われる。
今回、市は100%株主となる。
これにより「ガバナンス機能を発揮していく」との
担当職員の答弁であった。
②将来性
最も関心が高かったのは、
今回投じる14億円が確実に回収できるのか、
そして、今回支援することにより、
今後、この会社は自立した運営が担保できるのか、
という点であった。
結論としては、将来性が見込めるとの判断。
債権返済計画においても、
かなり長期の緩やかな計画
(収入が少ない場合の見積もり)でも、
ビルの耐用年数が経過するまでの間に
返済ができる、との数字が示された。
また、会社自体の経営は、
数値上、決して悪いものではない。
メインテナントの
ダイエーの撤退などが響いたものである。
経営状況や資産などからは、
持続性を認識できた。
さらには、この間、
地下のスーパーの撤退があったものの、
「与野の灯を消してはならない」
という「与野フード」の地域への思いからの出店や、
書店「書楽」が今後20年間の契約更新をしたことからも、
継続的安定的な家賃収入を見込むことができる。
こうした数々の説明から、
将来にわたり支援した金額が回収でき、
さらにはこの会社も存続できるだろう
という見通しが立った。
③会社の自助努力
この会社は、
本市の関与のある外郭団体であるが、
本質は、「民間」団体である。
直営とせずに民間団体に管理運営を任せるのは、
民間ならではの効率的な経営を期待してのものだ。
当然に自らの組織経営が、
効率的なものでなければならない。
全国の外郭団体が民間化していく流れの中、
この団体も改革プランに位置付けられて、
組織を挙げて改革に取り組んでいる。
また、独自の経営努力を
積み重ねているとの説明もあった。
確かに経営陣の年収も400万円台以下(常勤役員)。
厳しい経営を反映した内容だ。
以上、3つの条件を
クリアしているとみられることから、
「賛成」の判断をした次第だ。
ただ、何か胸に引っかかる。
経営危機の本質は何か。
今、私は逡巡している。
「さいたま新都心」。
今回の予算審査ではあまり深まらなかったが、
私はここに問題の本質、
少なくとも遠因があるとみている。
北与野という場所は、
さいたま新都心に隣接している。
そもそもこの再開発も、
新都心の街開きに合わせて、
旧与野市において連動して進められたものである。
新都心の動向と北与野駅周辺の経済の状況は、
密接に関係を持つのである。
これは関係者からも聴いている事実だ。
さいたま新都心の停滞。
さいたま市が誕生する合併のきっかけも、
この新都心の受け皿論があった。
都内から中央官庁が移ってくるだけではなく、
多くの企業も事務所を構え、
賑やかな業務核都市が出現するはずだった。
しかし、実際には残念な展開が待ち受けていた。
期待していた企業のテナントは入らない。
官庁も北関東の出先機関ばかり。
現在は、出先機関の撤退さえ、
政府内で議論されているところだ。
県や本市が手を拱いていたわけではない。
努力はそれなりにしてきている。
注目される墨田のスカイツリーと競った
「さいたまタワー」誘致運動もあった。
都内に位置していなかったことや
運動全体の盛り上がりに欠けたことが
敗北の原因といわれている。
新都心活性化の起爆剤として期待された
「8-1A街区」開発。
こちらは今年7月に
メインディベロッパーが撤退を表明。
その土地の所有者である
都市開発機構、埼玉県そして本市の
3者での協議は続いているが、
万事窮す、といった状況だ。
私は、先の構想が振り出しに戻ったことは、
本市にとって必ずしも悪いことだとは思っていない。
この新都心という場所は、
間違いなく本市の顔となる場所であり、
その新都心の中でも「8-1A街区」は、
重要な位置づけである。
一度開発したら、
約50年は固定化されてしまうだろう。
本市だけではなく、
この県南地域の長期的な展望を踏まえた
多角的で慎重な議論が必要だ。
炯々なことは言えないが、もしかしたら、
これまでの企業と官庁街を
誘致する業務核都市路線の
変更を迫られているのかもしれない。
じっくりとその内容を議論し、
可能性を探りたいものだ。
懸念されるのは、
独立行政法人の都市開発機構の民間化の過程で、
この土地が市場に売られ、
細切れのマンション群が一帯を占有してしまう事態だ。
せっかく国を巻き込み、
財政支出や合併という形で
市民を巻き込んでできた新都心である。
結局は住宅街、
それもマンション群の再生産となることは、
本市にとっては歴史的な痛手となるだろう。
傾向として本市の再開発の資金源は、
ほとんどマンション売却による資金調達である。
こうした事象からみて、
けっして油断出来ない話だ。
議員の責任としてとして、
新都心の今後の可能性も、
積極的に検討しなければならないと実感している。
いずれにしても、
今回の補正予算議案を検討する上で考慮したのは、
この新都心との関係である。
与野都市開発の厳しい経営状況は、
当社の担うべき領域を超えている
事態だといえるのではないか。
新都心が活性化していたならば、
北与野駅前ビルにもテナントが入居し、
安定的な経営が可能であったのだろう。
むしろ政治の指導性による
新都心の活性化がもたらされていないことに
その要因の一つがあるのだと思えてならない。
これらの点から、
自分も責任の一端があることを認識した
今回の審議だった。
さいたま新都心。
将来世代への重たい課題を抱えてしまっている。
↓ウィキペディアより
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