• 「猫の手貸します」

富士山は「活火山」である。
噴火の周期でいくと、
いつ噴火してもおかしくない。
あの美しい姿は、
永遠のものではないのだ。
1707年、宝永大噴火。
この噴火を最後に300年、
富士山は噴火していない。
25日に行われた明大公共政策大学院主催の
図上演習では、
この噴火による都市災害を想定しての訓練が行われた。
その際には、
火山の調査・研究で第一人者の
笹井洋一先生に様々な角度からアドバイスいただいた。
先生曰く
「とにかく想像力を巡らせること」
だそうだ。
私たちが留意しなければならないのは、
宝永大噴火の際、
江戸に4センチの火山灰が降り積もった点である。
だからどうしたのだ、と言われそうだが、
この灰、少し厄介なものなのだ。
道路に降り積もると、
坂道であれば1センチの降灰でも
車が登ることができないという。
つまり雪の降った状況に近くなる。
救急車が通行できなくなったら。
物資を運ぶことができなくなったら。
順次、灰を取り除く対応をして
基幹道路を生かす算段を取っておかねばならない。
さらに雪との違いは、
融けるか、融けないか。
上下水道における
「詰まり」をもたらす可能性がある。
特に下水に灰が流入すると、
下水が詰まる。
下水が詰まった際に、
噴火のタイミングが梅雨の時期に重なると、
雨水はたちまち浸水被害をもたらす。
下水は直ちに土嚢を積むなどして、
灰の流入を防がなければならない。
こうした、
道路や上下水道といったライフラインを
混乱させる可能性がある。
ぜんそく患者にも、
灰は大きな影響をもたらすため、
マスクをするなどの処置が必要だ。
火山だけではなく、
地震等の自然災害もそうだが、
高度に成熟した都市だからこそ、
災害のもたらすライフラインの停止状況は、
人々の生活に大きな影響をもたらす。
特に弱者にその影響が大きい。
また経済取引のチャンスを失う可能性もある。
その日をしのげても、
その後、どう復旧していくか、
灰をどう除去するのか、
といった視点も求められるだろう。
今回の訓練は、
頭の片隅に入れて想定しておかねばならない
火山噴火という課題を再認識させてくれた。
今、危機管理の項目に
火山噴火への対応は掲載されていない。
こうした点から
さいたま市の防災計画等を
今一度点検していきたい。