• 「猫の手貸します」

先日あることで、
7、8名の人たちに囲まれて。
「好きな言葉は何ですか?」
そう聞かれた。
前に書いたように、
私はあまりに多くの言葉に支えられているため、
一つを抜き出すことはとてもできない。
ただ、あえて口頭のやり取りなので、こう答えた。
「『命短し、恋せよ乙女』ですかね」と。
てれ隠しで受け狙い、そんな意味も込めたが、
本人はいたってまじめにこの言葉を取り上げた。
既婚者なのに「恋せよ」とは!
ましてや「乙女」でもないし…
この言葉、大正時代に作られた
「ゴンドラの唄」という歌の冒頭の部分。
私は、20代前半の修業時代、
黒沢明監督の「生きる」という映画で知った。
志村喬扮する公務員が、
自らの短い余命を知り、
最後に到達したのが、
自らの思いに従って生きる、
という生き方だった。
この言葉を私なりに解釈すると、こうだ。
人生は短い。情熱をもって生きよ。
何気ない日常。
うっかりすると、
たちまち時間が過ぎていく。
例え、様々な利害の調整役である議員であっても、
惰性で生きようとすれば、
そんな生き方もできる。
でも、いつかは人生の終わりが来る。
それまでの間だけ、
情熱を燃やすことができる。
情熱とは、つまり「自分」だ。
これから人生の後半戦。
埋もれている自分の想いをさらに掘り起こして、
まだまだ情熱を燃やして生きていきたい。