• 「猫の手貸します」

行財政改革公開審議。
26日~3日間にわたり行われた。
主催はさいたま市長。
私は、率直に、
この試みを好意的に受け止めている。
新たな「政治主導の行政改革」の挑戦である。
昨年市長選で行革を前面に打ち出し、
勝利した清水市長が就任し、
まずは行革本部を設置。
民間人採用や、外郭団体改革など、
できるところから着手。
現在、税で発行される全ての冊子に単価がついたことも、
ハッと気がつかされる行政改革の一つの形だ。
こうした流れの中。
清水市政の鳴り物入りで行なわれたのが、
この行財政改革公開審議。
行革本部は市長という政治家が主導で設置したものであり、
その行革本部が主催してとり行なっていることから、
政治主導といえるものだ。
内部の事業評価を公開するとともに、
そのやり取りを市民に見てもらい、
評価を下してもらう。
そんな試みである。
さいたまシティカップ事業やコミュニティバス事業など、
3日間で、お馴染みの事業が30項目にわたり審議された。
やりとりは、事業仕分けの手法を用いた予算査定、
といったイメージ。
論点を明確にして、
それを行革本部職員が担当職員にぶつけ答えを受ける。
その答えに対し、さらに深く問いただす…
数十分にわたる両者のやり取りを見ていた市民委員が、
継続か廃止か、それとも改善か、などを判定する。
3日間すべてを見ることはかなわなかったが、
毎日足を運び、傍聴した。
その感想を述べたい。
批判的に課題を羅列すれば、
いくつも挙げられる。
ノートに数ページにわたって
私が記したメモが手元にある。
やりとりが職員同士のやり取りであり
視野が狭いし突っ込みが弱い、
といったことから、
会場のマイクが錯綜し、やりとり聞きづらい、
場所は交通の不便な市役所でよかったのか…等々。
挙げれば、いろいろある。
しかし、ここでは、
まず、前向きな評価をしておきたいのだ。
なぜなら、これまでの行政の流れとは異なり、
明らかに舵を切り始めたとみられるからだ。
前市長時代なら、
行革のやり取りをめぐる議論を表に出すことなどは、
情報公開請求をしたとしても
明確にはならなかったのではないか。
私が見た限り、今回、
行革本部の論点は相当な部分に突っ込んでいたし、
担当者も真剣勝負で答えていた。
見ている者は、
行政職員の姿や事業の内容が見える利点があった。
まず第一歩の見える化は大きな成果だ。
もし留意点が多々あっても、
それは今後それを踏まえて改善すればいいことだ。
何より。
今回さいたま市では初めて導入された
無作為抽出により選ばれた市民の参加。
1000人に参加要請の送付をし、
返答のあった95人が参加したという。
その市民の意見を聞いているに、
建設的で、「いかにも」とうなずくべき
言葉がたくさんあった。
公募方式は、もちろん有力な参加方法ではあるが、
自らの意思を明確に持っている人の集まりになりやすく、
特に行政に厳しい人が集まる傾向にある。
それが感情的な場の雰囲気を醸し出し、
議論が深まらない場面を何度も見たことがある。
この無作為抽出は、先入観なく選ばれた人が
行政職員同士のやり取りを見て、
率直な意見を出し、判定している。
このことは今後につながる特筆すべき点であった。
もう一つ。
ここであえて厳しい意見に触れないのは、
行政改革とは、
市長や行革本部の専売特許ではない、
という想いがあるからだ。
つまり。
私たち議員もまた、政改革の担い手なのである。
もし市長、行政の実施した行革に不満があるなら、
議会でそれを実施すればいい話である。
市長も政治家ならば、
私たち議員も政治家なのである。
むしろ、自分たちを脇に置いて、
こうした市長の新しい挑戦を批判し実施を妨げるなら、
守旧派以外の何物でもないではないか。
いま必要とされているのは、
国を挙げての、限られた財政状況における
行政のすべき仕事を選択していくための行政改革。
時代転換期が大胆な作業を求めている。
今の、その渦中にある行政改革期間が過ぎた時、
そこには全く異なる行政の姿があるだろう。
議会は議会で、行政改革をやればいい。
そんな想いで、
この市長が踏み出した新しい政治主導の挑戦に刺激を受け、
秋の議会発会派実施の事業仕分けに向けての
準備をますます加速させていく次第だ。