• 「猫の手貸します」

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帰国して初めての日曜日。

いつもと異なる光景。

午前中に用事がないときには、
必ずといっていいほど、
田原総一郎さん司会のサンデープロジェクト、
略して「サンプロ」を見ていた。

その番組が前年度内で終了していたのだ。

実は私は一度、取り上げられたことがある。
3市合併時に辞職した件を取材され、
そのインタビューシーンが放送された。
全国の友人・知人から激励の連絡をもらった記憶がある。影響力は並ではないと思った。

この時の裏話。

実は激務から解放されて
気が抜けたからなのか、
遅い春風邪を引いていた。

体調優れない中でも、
何とか気力を振り絞って話をした自宅の部屋。

しかし。

そのシーンだけでは、
至らなかったようで、
責任者らしき人が、
「この近くに公園がありませんか」
と言うのだ。

少し晴れ間が除くが、
風のヒューヒュー吹く中、
公園で青白い顔をして紙を振り乱して、
鼻をズルズルやりながら、
やっとの思いで言葉を振り絞ったのを覚えている。

出来上がりを見るだけの胆力はなかった。

さて。

あの番組の緊張感を、
もう見ることが出来ないのは残念だ。

いささかテレビ映りばかり
気にする政治家もいただろうが、
何はともあれ、真剣勝負を見るのは
心が研ぎ澄まされるものた゛。

何か気の抜けたビールのような、
予定調和や録画放送の討論番組よりも、
生放送で真剣見あふれるやり取りの場面には、
手に汗を握ったものた゛。

後継番組が始まったが、
見て数分でテレビを消してしまった。

「批判ばかりして提案をしない」と
自身のいるメディア界にも厳しかった田原氏。

自身は
「ディレクターのつもりで司会者をやっていた」
という。

写真の最新の日経ビジネスには、
政界からの圧力についても記述があるが、
こうした圧力に屈しない姿勢は、
一目おかねばならないだろう。

稀有な存在であった。

言論を守る意味から、
マスコミ人としてこの勇気と覚悟は、
関係者に引き継いでほしいものた゛。

例を見ない番組が終了したことを、
寂しく思う次第である。