• 「猫の手貸します」

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京王線若葉台駅を降り、パサージュいなぎへ。この施設は、後藤先生が初めて手掛けた福祉施設である。2002年2月竣工した。依頼があって作り始めて、様々な困難に直面したという。

そもそも、この施設を作るにあたって様々な福祉施設を見て回ったという。しかし「どれ一つとして参考になるものがなかった」そうだ。障害者施設とは、入所者に関係なく、一方的に建てる側、運営する側の論理で設計され、建てられてきた状況が垣間見える。

これまでの知的障害者の入所施設の常識を覆す施設のため、補助金所管官庁の東京都と激しく何度もやりあったという。「入所者が快適で満足な施設にしたい」という後藤先生たちに対し、「こんなのは障害者施設ではない」と行政職員。新しいことに挑戦することの難しさを露呈するも、熱意が後押しした。

写真3枚目の格子は、「キックガード」という。足の位置がガラスだと知的障害者の行動で割れてしまう危険性がある。だから通常はコンクリの壁を腰のあたりまで持ってきて、その上のガラスを置くのがこれまでの常識だそうだ。しかし、足の部分までガラスを持ってきて光を取り入れるとともに、外に開かれた作りにすることにこだわったという。こんな流れで、割れるのを防ぐため、というよりも、入所する障害者たちの快適な生活のために、キックガードを設置した、というものだ。

近隣住民の反対にも、困惑したという。「迷惑施設」という位置付けでの反対だったそうだ。住民に丁寧な説明を心がけるも、警察まで呼ばれてしまったという。いまだ、一部は反対が続いているという。

一番上の円形の施設は、食堂で、門のすぐそばに位置している。施設のシンボルである。また、中庭には数本の木が植えてあり、味わいのある作りとなっている。こうしたデザインによる工夫で、もしかしたら障害者に対する社会の考え方まで変化してくるのではないか、と思うほど、インパクトのある、これまでの常識を超えた試みだったと実感した。