• 「猫の手貸します」

さいたま市行政は、
11月1日付で、
「行財政改革推進本部」を設置すると発表した。

5月の市長選挙での
清水市長のマニフェストに記載されていたものが、
いよいよ形になる。

私は大いに期待している。

この行政改革推進本部について
特筆すべき点は以下の点だ。

■まず特筆すべき点その1。

市長という政治家の主導するものである点。

政治の立場こそ、
行政改革の発動者であるべきである。

しかし、政治は行政改革を怠り、
単なる利益誘導的役割に安住していた。

そして行政に行政改革を任せてきた。

また、そもそもが
現在進められている行革は、
中央政府発動のものだった。

5カ年の行革推進プランは、
総務省の中央政府の方針を具現化したものだった。

今回の組織改編で進められているのは、
自治体の政治家である市長が主導する行革である。

■特筆すべき点その2。

市長の直属に当本部が置かれている点。

これは市長の、
行政改革に対する明確なメッセージである。

徹底して行革を進めていこう、
という意思表示として受け止めている。

これまでの改革の推進役の「改革推進室」は、
総務局の一担当部署にすぎなかった。

そのため。

「行政管理」の視点が強く出ていた。
新しい行政の役割を見据えた
行政改革の推進役にはなれなかった。

私は前市長に対し、
この点をたびたび主張し、
市長の主導での行革を提案してきたが、
残念ながら届かなかった。

前市長時代の行革本部は年に一度、
60分に満たない時間しか、
開催されなかった点を付け加えておきたい。

量の行政改革、
数字上の行政改革が進められたのは確かだ。

だが、これから必要とされている行革は、
今後の社会を展望し、
新しい行政の役割を視野に入れるとともに、
選択と集中の観点に立つものでなければならない。

質を重視した行革である。

■特筆すべき点その3。

民間人を2人登用する点だ。

これまでは一切、
行政職員で完結していた行革に、
外部の新たな視点が加わることとなる。

ただ、民間人であれば誰でもいいわけではない。

経営の視点や経験を備え、
市場の功罪を熟知した人が望ましい。

これまでの行政改革は、
行政職員に任せてきたものだ。

「まな板のコイが包丁を握る」ようなもので、
自分で自分の身を削るのがこれまでの行政改革だった。
当然に切りやすさがその基準となる。

その大きな問題として、
切るべきでないものも削られ、
廃止すべきものが延命されている。

また、公的サービスを行政やその関係団体により
担っていく姿勢がまだまだ根強くある。

世界的視野で公的サービスの動向を俯瞰すると、
行政は「政策立案」と「監視」の役割にシフトする傾向にある。

市場とうまく付き合っていく視点が必要だ。

民間人登用により、
この点が行政組織内部に反映されることを期待したい。

以上であるが、
これまでの行革については、
行政職員を批判する前に、
自戒を込めて、政治がすべきことを怠ってきた点、
さらには、これからまさに政治が
自らの役割を果たす時がきた点を
最後に述べておきたい。

市長は自ら動き出した。

これからは議会も
行革への姿勢を問われることとなる。