ある市民の方から、
他の自治体に比較して
「さいたま市の水道料金は高いのではないか」
というご連絡をいただいた。
これまで議会において
水道局の説明を受けてきたが、
ここで全体をうを整理するため、
水道局職員にヒアリングに行き調査をした。
その結果を市民の方へ返信したのだが、
その関係部分を抜粋・やや修正して以下に掲載したい。
皆さんはどう考えますでしょうか。
★ ★ ★
まず第一に、さいたま市の料金の位置ですが、
●政令指定都市18市中、4位。
●埼玉県内では16位。
つまりやはり「高い部類に属する」といわれても
仕方がないようです。
ただし。
公共料金については、
税金の額も同様ですが
「高いか安いか」の価値判断だけではなく、
●負担しただけのサービスが提供されているか
●負担した分の役割が果たされているか
●人件費などで「余計なコスト」を支払っているのではないか
そんな視点で見ることが重要だと考えています。
高負担高福祉の北欧の例が一つの例です。
私が公平な目で見た中で、
以下の点が職員へのヒアリングから見えてきました。
設備投資に莫大なお金がかかっている点。
水道管の「耐震化率」は政令市の中で1位であり、
アスベストを合有した管(石綿管)の架け替えを
他の自治体に比べて進めている。
(順位は提示されましたが失念しました)
これらの設備投資に、
1995年の阪神直後から取り組んでいるのですが、
約1000億円の借金を積んで、
しかし急いで対応してきたとのことでした。
この1000億の返済。
年間の会計で約35億前後の余剰金を捻出して、
その返済に充てているとの説明がありました。
今後も設備投資の必要性は、とどまりません。
さいたま市の水道管は、
昭和40年代に敷設されたものが多い。
耐用年数が「約40年」とも言われている中、
そろそろその期限を迎える管が出てくるものです。
こうした老朽化した水道管の敷設替えに加え、
荒川から水を市内に供給する配水場も老朽化しており、
この建て替えもあります。
などなど今後も計画的に設備を整えていかねばなりません。
当面は料金を上げないまでも、
下げることはできない、との考えでした。
ちなみに、水道料金の安い自治体。
その分、耐震化率も石綿管の敷設替えの率も
大幅に低い自治体があります。
ようは、今の受益者の負担は低く抑えているが、
設備投資費は後回しとしている。
そんな自治体も存在しています。
この考えは自治体によって異なるのでしょう。
それこそ民主主義の最たるもので、
有権者やその有権者から選ばれた市長・議員が、
その方針を決めることとなります。
これまでの議会での審議や今回の調査を通じ、
さいたま市の方針は、
●積極的に設備投資を進め、
その財源を水道料金に含めている。
●その設備投資は市民に必要なものである。
ということが分かりました。
必要なサービスを提供し、
その分は負担を多めに受益者にお願いする、
それがさいたま市のやり方であり、
「べらぼうに高い」ことがない限りは、
私はこの方針を支持したいと考えています。
一般財源、つまり一般の税負担分から投入したらどうか、
という意見も出そうですが、
水道をたくさん利用する人に
相応の負担をお願いする方針のほうが、
私はいいと思っています。
福祉などに、まだまだ財源は足りない状況だからです。
ただ気がかりなのは、
人件費等の余分なコスト問題や、
積極的な収益向上への努力について。
水道料金を下げることは困難かもしれないけれども、
もしかしたら今かかっているコストを
下げることができるのではないか。
それによって将来負担予定の借金返済を
前倒しできるのではないか。
私はこれまで予算委員会・決算委員会などで、
水道の担当になった際には、
事あるごとに
「水道料金のメーター検針の民間委託一元化」
について言及し、
その早期の改善について注文をつけてきました。
人件費にかかわる問題です。
つい先日の10月7日に開かれた
今回の決算委員会でも、
その動向についてただしたものです。
この本質は、
公社に委託を一元化すれば
人件費が安く済むにもかかわらず、
労働組合に配慮し、
個人契約を解消できていない、
という水道局の自己都合によるもの。
ある種の既得権益であり、
これによって水道料金に少なからず影響がある、
ということもできます。
雇用問題は軽視できませんし、
乱暴に取り扱ってはなりませんが、
しかし一方で昭和43年以来、
毎年契約方式というこの異常な形態で
ずっとここまで来ているのです。
数年前には一元化の方針を、
さいたま市行政自らが出しているにもかかわらず、
いまだ、なかなか進まない一元化。
これが民間の話であり、
公金が投入されていない分野ならば、
言う筋合いにありません。
しかし、水道料金を「高い」と感じている市民にとって、
このケースを見過ごしているというのは、
腑に落ちないことでしょう。
やや減らし始めていますが、
このスピードを速められるよう、
今後も目を光らせていく所存です。
また、別件で収益を上げることができないか。
横浜市は市の水を充填したペットボトルを
100万本以上売ったといいます。
同決算委員会で
「ペットボトルの販売に力を入れて
収益性を確保したらどうか」
との提案をしました。
さいたま市水道局職員の話によれば。
●災害用備蓄として用意。
●そのためペットボトル(2年)から、
備蓄に適したアルミ缶(5年)に容器を変更。
●販売の目的はPRのため。
●平成20年度で売れたのは約4万本。
●容器に充填する施設が市内になく、
市外の遠いところ(今は秩父)にもっていっている。
わざわざさいたま市の水をその地まで運び、
入れて戻ってくる。
それだけで輸送コストなどが高くつく。
確かにこれは無駄な作業です…。
●基本は水道の蛇口から利用してほしい。
こんなことで販売はしているものの、
収益性は考えていないとのこと。
確かに考えは一理あるものの、
コスト削減の取り組みや、
収益の確保への努力も必要であると考えており、
この点でも今後チェックをしていきたいと思います。
ただ、先進的だと思ったのは、
配水場の水の流れを利用し、
「小水力発電」を実施している件。
当施設の電力の3分の1をまかなっているとのこと。
新聞に取り上げられていました。
また、私が訪問した水道局のある
浦和区針ヶ谷の施設の老朽化はひどいもので、
耐震化でも倒壊の危険度が
最も高い部類に属しているとのこと。
それでも新規の建て替えではなく、
補強で対応して欲しい、
という市の幹部からの意向に従って、
現在に至っているとのこと。
水道局なりの努力や、
水道局の被っている負荷は実感した次第です。
以上のことから。
●さいたま市の水道料金は高い部類に入るけれども、
●それは様々な市民サービスを勘案した費用や
●コストカットの努力をした結果の金額となっている。
ただ
●人件費などにまだまだ課題があるし、
●将来は合法となった完全民営化も念頭に、
●収益性の確保も含めて、
●費用対効果の視点から、より努力していくべきだ。
そんなことを念頭において今後も注視していきたい、
と考えた次第です。
長くなりましたが以上です。