• 「猫の手貸します」

■3月23日の臨時議会の報告

少し時間がたってしまったが、
臨時議会の報告を簡単に行ないたい。

通常は、当初予算審議を終えた2月議会の終了をもって、
5月開催の人事を決める臨時議会まで、
議会が開催されることはない。

異例の議会の開催だった。

さらには当初予算のスタートである
「4月1日」を超える前の段階での、
予算の補正を行うという点も異例であった。

今回の予算案の内容については、
報道では市長選挙への
露骨な「選挙目当て」とされる批判もあった。

結果は、すべての議案について、
すべての議員が賛成であった。

しかし。

私の所属する民主党・無所属の会は、
この審議プロセスで、
議会全体を通じて唯一、
異論を提示することとなった。

「子ども医療費無料化」の拡大についてである。
他の案件も審議されたが、
それらは特段の意見はなかった。

この点を含め、
臨時議会報告として、
2つの点について述べておきたい。

1.子ども医療費無料化の拡大
2.吉田一郎議員の辞職の報告

       ★

1.子ども医療費無料化の拡大

子どもの医療費無料化の拡大は、
子育て支援の流れを強くする
時代の流れに適ったものではないか。
なぜ異論を述べるのか…

私たち会派は最終的に賛成した。
だから、基本に反対なのではない。
医療は何よりの生活上の根幹をなすもので、
この拡大には理解はある。

ただし。

「財政」「小児科医不足」という視点は、
議員として、
当然に兼ね備えておかねばならない。

小児科医不足の中、
医療費の無料により、
診療にかかる子ども数は軒並み増えるだろう。

しかし親の不安な気持ちは理解するものの、
本来は医師にかかるまでもない案件が増大する、
というのが一般論である。

なぜ小児科医が不足するかといえば、
●責任の重さ
●過酷な勤務状況

により敬遠されているという。

さいたま市も、例外ではない。
2月議会において、
なんとか小児医療体制を確保した、
という状況なのだ。

ただ、この点は、議会質疑の中では、
無料化に対する医師会の理解を得られた、
という答弁が出ている。

見守るしかない。

一方の財政問題。

この議案の趣旨や
質疑に対する答弁で明らかになったのは、
以下である。

●総額約40億円、人数は約17万7000人を対象
●従来は中学生・小学生の入院までが無料化の対象
●これを中学生までの「通院」まで拡大

●拡大により、年間約18億円の追加支出の見込み
●拡大分の財源は「一般財源」
●局別予算編成の仕組みの下、
 保健福祉局内の予算から調達するのが一義的
 (↑この局(医療・介護・福祉など)
   の事業の廃止・削減をともなう)

●この医療制度の導入にあたり、
 財源は国の子育て支援策の一環で
 浮いたお金から調達した経緯がある。
●つまり、当初は財源捻出に慎重な姿勢であったのに、
 今回はあいまいな財源のまま拡大の議案を提出した

●なぜこの時期かは、憶測だが、
 5月に市長選挙を控えている事実がある。
 現職の「市長選目当てか」との報道もある。

●緊急経済対策の一環として、
 中学生までの子どもを持つ家庭への支援を意味するが、
 一時的なものではなく、
 毎年同額の支出がコンクリートされる、
 という恒常性を持った議案である。

これに対し、私たちの会派では、
●「賛成」する
●しかし、恒常的な案件であるため、
 できれば期間を半年遅らせ、
 充分な準備をすべきだ
●今後導入にあたっては、
 行政改革をしっかり進めるべきだ

といった趣旨の内容を、
●保健福祉委員会…修正案提出・討論
●予算委員会…討論(私が発言)
●本会議…討論・付帯決議(趣旨説明)

とそれぞれの段階で、
随時盛り込んで主張してきた。

私たちは議員である。
自治体全体の継続性に責任を負う。
財政は持続性を担保する重要な指標である。

未曽有の経済危機による影響で、
来年度以降は、
ますます税収が減額となっていく可能性が
すでに確実視されている。

このような状況下で、
たとえ市民からのニーズであっても
支出に対しては抑制的な姿勢が必要だ。

先日夕張市を視察した。
私は破綻後、2回目の訪問である。

なぜ財政破綻したのか。

様々な要因があるが、
端的にいえば
「身の丈に合わない財政支出を行なってきた」
からだ。

負担の急激な増額。
大幅なサービスの廃止・縮減。
今そのツケを住民自身が負っている。

財政については、
家計に例えてシンプルに考えたい。

医療費は確かに必要だ。
生活の根幹をなす。

しかし、その分の支出を担保するためには、
洋服を買うのをやめるとか、
車は中古車にする、
といった収入との見合いで
優先順位を決めて判断していく。

決して赤字分は、
借金を増やさないようやりくりする。
借金はあくまで
住宅ローンなど限定的な分野に限る。

どの家庭でも当たり前に行われていることだ。

今回、残念ながら、
それらの検討が、
ほとんど行なわれずに提案され、
決定されたというとだ。

「生活費のどこか部分を削りお金を用意する」
「いまは家計簿の数値がいいから問題ない」
そんなあいまいな判断で、
毎年必要経費となる恒常的な案件を通してしまった。

最終的には子ども医療費無料化は
優先順位の高いものとなろうが、
そこに至るまでの審議プロセスを大切にすべき、
ということがここでの論点だ。

「何を削るか」の議論を
市民と向き合って議論することが必要なのであり、
廃止するもの、削るものを
行政が一方的に決定するべきではない。

その時間は必要であるという主張である。

本筋の行政改革。

私はこれを主張している。
これまでの行革は否定するものではないが、
中央集権的で、行政主導だった。

今後は従来の手法とはまったく異なる
政治主導の行革でなければならない。

「どれを廃止するか」
を市民と議論していかなければならない。

時代遅れのもの、
優先度の低いものを廃止し、
必要なものに集中していく。

常にこうしたサイクルで動いていく
市政にしていきたいものだ。

今回の議案を審議するにあたり、
改めて想いを強くした次第である。

2.吉田一郎議員の辞職の報告

臨時議会冒頭において、
吉田議員の辞職が認められた、
との報告が議長よりなされた。

先日も記したが、
彼は議会本会議において、
自らの発言中に、
議長に対し辞職願を「叩きつける」
という低レベルのパフォーマンスを行なっていた。

もう彼についての私による評価は、
ここで触れる必要がないだろう。

無所属議員の発言権(質疑・討論)を盾にしているが、
その実現に本質があるのではなく、
次の選挙でどう有利に戦えるか、
が彼の本質だ。

こう断定するのは、
事実をないがしろにしようが、
他の議員からの信頼を失う行為を繰り返そうが、
まったく関係なく、
「目立つ」ことに重きを置いている節があるからだ。

議会で派手な行動をし、
懲罰等を下されると、
主観の強い、時には事実と異なることを掲載した
ニュースを即座に選挙区に配布し宣伝活動をする。

ここに一貫しているのは、
有権者の関心を引くことだ。

人間は、一方に前向きな建設的な感情を持つが、
さらに一方に批判的なネガティブな感情をもつ。

後者の感情への共感に働きかける方法を、
彼はとっている。

「浦和ばかりが優先されている」
「無所属議員は発言が封殺されている」

ならばどうしたら
その状況を変えることができるのか。

深い考えとそれに基づく行動によって、
変化を生み出す努力が必要だろう。

批判だけでは、
この時代の難関を切り抜けることはできない。

彼が全く新たなものを
創造する立場には立っていないことは、
これまでの活動から明らかである。

5月には市長選と同日の市議補欠選挙がある。
彼はここに出馬すると報道されている。

北区の有権者には、
一連の選挙のためのパフォーマンスを見抜き、
今後の議会のあるべき姿を念頭において、
見識あるしかるべき投票行動を
していただきたいと願うばかりだ。