「小泉改革は間違っていた」
「今の日本の停滞は小泉内閣が原因だ」
……
小泉内閣時代の様々な改革に対し、
こうした異論が噴出している。
議論は幅広いほうがいいし、
民主主義の社会だから言論は自由だ。
ただ、政治に携わる者による、
無責任とも思える批判のための批判には、
耳を疑ってしまう。
もし小泉内閣の一連の改革路線が
間違っていたとして、
では「第3の道」はどんな方向なのだろうか。
小泉内閣の路線とは異なる
新しい構想を、いまだ聞いたことがない。
さすがに
「共産主義の社会を創る」
ということではないだろう。
では従来のケインズ政策で、
大きな政府に戻っていくのか。
程度にもよるが、
これも選択肢としては、
適切ではないと考える。
膨大な借金を残して終わったからだ。
1990年代の後半、
小渕・森の両内閣が象徴する。
ケインズ政策の結果、
膨大な借金が積もり重なり、
日本社会を危機に陥らせ、
今に至っていることを忘れてはならない。
バブル崩壊後の日本社会は、
どん底の景気状況を経験した。
この対策として、
ある意味で大胆な対策が取られた。
全国各地で社会インフラ整備の名目で
公共投資がなされた。
この公共事業の過剰投資が大きく批判される。
が、これも景気回復を念頭に置いた
国を挙げての政策的判断として行なわれたもの。
後に旧大蔵省(現・財務省)関係者から
私自身が直接聞いたから、
間違いのない事実である。
単なる利権政治家による
「既得権益へのバラマキ」という現象ではなく、
景気回復させるための真面目な政策だったのだ。
道路建設など社会インフラ整備に公金を回し、
建設業界にお金を流す。
その建設業界を先頭に地域にお金が還流し、
消費に新たなサイクルが生み出される。
雇用も創出される。
こんな成果を念頭に置いた政策だった。
将来世代の負担となる「国債」を
原資とした公共投資。
公共投資が成果を挙げ、
景気が回復し経済成長がなされれば、
借金も返済でき、
雇用も創出できる…はずだった。
しかし、失敗した。
結局、一時的な効果に過ぎなかった。
残されたのは、
膨大な借金と相変わらずの不景気だった。
森元首相の歴史的な支持率低下は、
舌禍事件など様々な点が指摘されているが、
何より経済政策の失敗が大きかったと思われる。
「構造改革」。
それまでの社会・経済の構造を根本的に変える、
というのが、
森元首相後に総理に就任した小泉元首相の、
このスローガンだった。
小泉内閣が発足して。
規制緩和策や不良債権処理などにより、
景気回復や経済成長の結果を残したことは、
周知の事実であり、言うまでもない。
ただ、ここで言いたいのは、
小泉内閣をことさら
持ち上げることではない。
以下のことである。
小泉内閣の経済政策、
構造改革路線に異を唱える政治勢力がある。
特に今になって
派遣打ち切り問題などが起きたこのタイミングに、
勝ち誇ったかのように
批判に転じている政治家がいる。
批判したり、
反対することが悪いのではない。
無責任な批判に基づく政治的言動は、
社会全体を歴史的な混乱に巻き込む危険性がある、
ということが言いたいのだ。
今、政権与党の自民党が国民の支持を失っている。
言い換えれば、
現在野党であっても、
選挙で与党となり、
政権を担当する可能性が大きい時期にある。
与党になるということは、
立法府の権力をもつということであり、
経済政策を策定する立場に立つ、
ということだ。
だから批判するならば、
小泉元首相の構造改革路線とは異なる
改革の代案を明示したのかが問われているし、
今この時にこそ明示する必要があると思う。
当時できなかったのは差し引いても、
今は、それをしっかり示さねばならない。
いま必要なのは、
地に足のついた一貫性のある主張であり、
説得力のある説明ではないかと思う。
そしてこの観点から、
小泉元首相やその内閣を評価するとともに、
現在の麻生内閣への不満に合わせ、
政権交代を前にしている民主党にも、
いささかの頼りなさを感じているところだ。
日本の国と地方を合わせた借金は、
「800兆円」を超えていまだ伸び続けている。
欧米では借金は「GDP比2分の1」
が目安だといわれている。
だとしたら日本のGDPは500兆円。
借金は「250兆円」に抑えておかねばならない。
実際には、いまだこの借金は増え続けている。
それどころか、
「100年に一度の未曽有の経済危機」に対して
公共投資積極論が当たり前に議論されている。
過去の「大きな政府路線」への回帰は、
確実に将来世代にツケを残していく。
今こそ持続可能性を念頭に置くべき時であり、
国民的支持を集めた小泉内閣の取り組みを参考に、
冷静な政権運営を期待したいものだ。
★
2月14日
●午前、自宅にて2月議会準備など
●歯医者へ
…いつもながらに緊張…左奥の資料と歯の掃除
●午後、喫茶店にて2月議会準備など
…自宅での集中力が途切れ喫茶店へ。
●夜、自宅にて2月議会準備など
2月15日
●終日、自宅にて2月議会準備など