医療改革は「待ったなし」の状況である。
さいたま市議会でも12月議会において、
市立病院・産婦人科医の確保のため、
その待遇改善の議案・補正予算が提案されている。
さて、この医療費、
日本では「保険」方式で行なわれてきた。
基本の保険料負担に加え、
一部医療費の自己負担があるが、
私は歴史的に大きな役割を果たしてきたと考える。
ただ、すでに限界に来ている。
産科医や小児科医の確保が
充分にできないことはその象徴的な事例だ。
ましてやこれから10年先には
本格的な高齢化社会を控えている。
何もせずに済むとは到底思われない。
批判の大きかった「後期高齢者制度」だが、
将来の医療費不足を念頭に創られた制度だ。
新たに作られたというよりは、
ツギハギでほころびを見繕っただけである。
しかし、批判的立場に立つ政治家も、
「財政難による医療崩壊にどう対応するのか」
という問いかけに対する
答えを明確に用意しているようには見えない。
結局、後期高齢者制度は、
「最悪の制度だが、考えられる制度の中では最もまし」
という位置づけだろうか。
先の長い大きな課題である。
ところで、大ロンドン市環境局長の
ハチンソンさんと話をする機会を持った。
ふと、イギリスが全額「税」方式で
医療費を捻出していること思い出し、
率直にその運用状況を聞いてみた。
世界最大級の都市の官僚らしく
落ち着いた調子で答えてくださったのは、
以下のようなことだ。
●公費で負担する部分と自己負担の領域について、
境界に関する議論は常に起きている。
●たとえば、肺がんの治療薬は公費対象ではなかったが、
患者が「対象とすべき」と訴訟を起こした。
●薬などは経済効率性も含めて
特定の医療機関により公費負担の是非が判断される。
●背景に財政難による医療費の抑制の流れがある。
●自分としてはこの税方式に満足している。
●高齢化社会を目前にしているので、
気がかりである。
この間、日本では医療崩壊を防ぐために
抜本改革を主張する意見が強くなってきた。
保険方式もまた、
見直しの議論の俎上に上ることだろう。
ハチンソンさんの言葉を聞き、
単純に「保険方式を税方式に変えればすべて解決する」
といった考えは慎重に聞かねばならないと思った。
税方式は魅力的でもある。
保険料の支払いの有無で
「医療を受けられない」人が出ること
を防ぐことができる。
最も理不尽な「無保険の子ども」問題も
起きなくなるだろう。
しかし、公的医療サービスの範囲では、
経済効率性も含めて常に判断されていく。
歯止めのない税の投入、
ということになりかねない面もある。
税方式には税方式の問題点もあるし、
本格的高齢化社会を控えている点では同様なのだ。
今、必要なのは
地に足をつけた国民的議論ではないか。
議論を通じ、
国民の多くに現状に関する情報が伝わる。
やがて、切迫した状況が共有され、
医療費の抑制を促し、
国民が更なる負担に理解を示してくれるだろう。
「定額給付金、是か非か」という
議論をする時間があるなら、
よほど「持続可能な医療制度」に向けての議論に
時間をかけたほうが意味のある時間となるはずだ。
お金はあっても診療を受けられない、
という悲劇の時代は、
もうすでに一部で始まっていることを、
私たちは忘れてはならない。
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11月18日
●午前、自宅にて事務作業など
●午後、議会にて事務作業など
●議員との懇談
●夜、道場
●道場関係者との懇親
11月19日
●自宅にて事務作業など
●浦和西部まちづくり事務所
…武蔵浦和駅再開発についてのヒアリング
●議会にて議会関係者との懇談
●議会にて市民との懇談
●民権塾有志との懇親
…日本の政治、世界の経済情勢、
これからの日本など熱い話は多岐にわたった。
11月20日
●午前、自宅にて事務作業など
●午後、議会にて事務作業など
●夜、道場
11月21日
●午前、自宅にて事務作業など
●議案説明会
…12月議会の議案説明会
●議員年金説明会
…事実上破綻しているといわれている議員年金の説明会
●予算委員会・理事会
…議案審査を深めるため参考人を招致する件など
●午後、議会にて事務作業など
●クリの家、手伝い打ち合わせ
…宿泊込みで手伝いをすることとなった。
その打ち合わせ。
児童養護施設を卒業した16〜19歳が入所資格を有する施設。
ささやかながら私も貢献できたらと思う。
●夕、歯医者へ
…抜いた歯のその後は順調。
反対側の下側の奥歯の新たな治療が始まる。
麻酔が効きすぎて自分の舌が一時コントロール不能に
舌が動くようになってきたら今度は激痛。
しかしこれも自らの怠慢が招いたこと。
医療費の余計な支出を助長ししまうことも合わせて反省。
●自宅にて事務作業など
11月22日
●自宅にて事務作業など
●横浜市立大「事業仕分け人」養成講座
●仕分け人講座関係者との懇親
11月23日
●自宅にて事務作業など
●ハチンソン先生を囲んでの昼食会
ハチンソン先生…大ロンドン市役所の環境局長。
公務員でトップの立場に立つ。
明治大学大学院では
特別招聘教授として毎年招いている。
…昼食会では様々な意見交換を行なったが、
英国の全額税方式の医療費について、
先生は「満足している」とおっしゃっていた。
●明大大学院ハチンソン先生講義
「オフィス開発」
…オフィスのあり方は時代により異なる
ドッグランズという
以前は造船業などを行なっていた地域を再開発し、
カナリーワーフという場所に
最新のオフィス街を実現した。
雇用人口は増え続けている。
この地域はマイクロソフトシティと銘打たれた。
将来、雇用の確保など具体的に数値で示している。
「ロンドンオリンピック」
…「会場は西か東か」の議論を経て、
1990年代後半に東での開催を決定。
ロンドンオリンピック決定に至るまでの経緯の説明。
「やる前」「やっている際」「やった後」
それぞれのプランを作成し、それが認められた。
具体的なプランが示され、準備が進められている。
新市長のもとでも大きな変化はない。