• 「猫の手貸します」

6月2日は、浜松市役所と静岡県庁を訪問。
以下の点について職員からヒアリングした。

浜松市役所
公会計制度(財政課)
事業仕分けの経緯(行政経営課)

静岡県庁
業務棚卸表の活用による行政改革(行政改革室)

以下、それぞれの特筆すべき点などを記す。

       ★

浜松市:
公会計制度

企業など民間の知恵を活用して
公の機関も改革をしていこう、
という流れはずでに日本社会に根付いている。

これまで行政の会計制度は
単年度収支を示すものであり、
後年度の財政負担や持続可能性を
示すものとは必ずしもいえなかった。

そこで企業の使用している
「複式簿記」を行政の会計にも導入しよう、
という流れとなっている。

現在、総務省がモデルとして提示しているのは2種類。
●基準モデル
●総務省改訂モデル

さいたま市は総務省改訂モデルを採用する。
浜松市は両方を平行して取り組んでいくという。

この公会計制度の導入に当たり、
浜松市は全国の先頭に立ってきた。

自動車メーカーのスズキの会長など
民間人で構成される「行政改革審議会」が、
企業の使用している会計の導入を答申する。

これを受けて浜松市の独自の取り組みが始まった。
公会計制度を民間の有識者を招き研究会が設置された。

そして2007年(平成19年)10月、
「報告書」が公表された。

報告書(浜松市HP)

公会計制度のなかでも、
「資産の評価」をどのようにしていくのかは、
大変関心があった。
というのも、
膨大な数に上る公的な施設や道路など
市の所有物の時価評価を出さねばならないからだ。

企業は倒産した再のための担保として
「売却可能な資産」を自己評価し、
それを会計上に示している。
行政はどうするか。

土地の評価には、
客観性を持たせるために、
不動産鑑定士に依頼しなければならない。
それには大きなお金がかかる。

資産評価のために、
膨大な時間とともに
大きな金額の支出をする必要があるのか、
検討が続けられてきたという。

結論として浜松市は、
当面は労力や財政的な面から
国の示した基準値を採用し、
徐々に自己評価に踏み出していくという。

会計制度は、
平成20年度、つまり今年度分の決算から採用され、
来年始めて作成しなくてはならないこととなっている。

議会には決算審査に資する意味で
報告されるだろうから、
議会サイドにいるこちらも、
それに耐えうる知識を身につけ、
さいたま市の財政を、
多様な角度から診断していく
努力をしていかねばならない。

       ★

浜松市:
事業仕分け

5月31日・6月1日と2日間にわたり
実施された「事業仕分け」について、
担当課に総括的な面の説明を受けることも含めて、
その実施にいたる経緯などを聞いた。

事業仕分けは、
にわかに新しい行革の手法として
注目度が右肩上がりにある。

これに合わせるかのように、
浜松市内部に熱心な職員がおり、
他の自治体で実施された仕分け作業を傍聴したり、
時には仕分け人として参加していたりした。

そんなことから内部では
事業仕分けについて、
その対応のための準備をしていたという。

そんな折、市長選で新市長が誕生した。
鈴木市長は選挙時のマニフェストで
「事業の見直し」を掲げた。

就任後、事業見直しの一つの手法として、
事業仕分けが採用されることとなったものである。

その準備として数回の研修を経て、
今回の実施に至った。

今回の試みがどう活きるかは未知数だが、
当該職員に「気づき」が生まれることを
担当者は期待していた。

以下は事業仕分けを見た私の感想だが、
気になったことがあった。

それは行政経験のある仕分け人と
説明する浜松市職員の間で、
建設的な議論になっていないようなケースが、
ママ見られた点である。

罵倒する仕分け人と萎縮する職員。
そんな構図が見られたが、
これでは傍聴する者から見て、
建設的な仕分け作業を行なったようには見えない。

仕分け人にはガツンとものの言える人は、
一人や二人は必要かもしれない。
説明する職員の中には、
それによって気づきを得る人も現に居るからだ。

そうすると事業仕分け作業の際には、
コーディネーターのあり方が鍵を握るといえるだろう。
コーディネーターをする人の力量や
バランス感覚が重要であることを実感した。

仕分け作業は、
試行錯誤しながら修正していくものであろうから、
今後も姿を変えていくに違いない。

       ★

静岡県:
業務棚卸表の活用による行政改革

「業務棚卸表」というのは、
自治体の上位に位置している
「総合振興計画」を具体的に実施していくにあたり、
各種施策単位で一覧表を作り、
その実現に向けた数値目標や指標を具体的に挙げ、
それを自己評価するものである。

特徴は、「それを作れ!」と
上意下達方式で担当職員に下ろすのではなく、
職員自身のやる気を引き出すための
ツールとして利用されている点だ。

総合計画を上位においているため、
首長のマニフェストとの整合性については、
未知の課題があるようだ。

この手法は全国でも静岡がダントツの先頭を走っている。
さいたま市では事務事業評価などを行なっているが、
静岡県の事例を参考にし、
独自の総合的な行政評価手法を
作っていくことも検討に値すると考えている。

静岡県HP