• 「猫の手貸します」

■構想日本
■「福祉は本当に人を幸せにするのか」
■日本財団にて

興味深いテーマだった。

話を聞いて、結果的に、
行政に依存しないライフスタイルの模索などの
想いがますます強くなった。

パネリストは、
宇沢東大名誉教授と田中法政大教授。
コーディネーターは、
ルポライターの山岡氏。

特に田中氏の江戸時代の話が興味深かった。

当たり前だが、江戸時代には、
行政なるものも年金なるものも存在しない。
しかし人々は相互扶助を行っていた。
自分たちで自主的に。

その機関として、
「講」「組」「連」などの5〜20人弱の組織が作られ、
運営されていたのである。

仏教の精神的影響もあったのだろう。
「人を助けると自分に返ってくる」
そんな思いが広がっており、
これが底流にあって相互扶助が成り立っていた。

また、当時は農業という生産の現場にいた。
家族は生産の場で様々若割り分担を行なっていた。
現在の大家族幻想も、
この生産の現場があってのことで、
いまは家族が生産の現場とはかけ離れたところにある。

もう一度、大家族を作ったとして、
今の社会が抱える課題を
解決することにはならないだろう。

ポイントは、
「生産と消費の場」である。
農村はこれが同じ場所にあった。
今は違う。

親を失った子どもも、
破産した家族も、かやぶき屋根を葺くときも、
それぞれ当時は助け合うシステムがあった。

それに比べて、
今はシステムが複雑で、
見えにくくなった。
しかし現実を知ることで変わっていくのではないか。

江戸のころも、
自分勝手な人間はいたが、
現実がそれを許さない面があった。
働かなければ食えない現実。

こんな内容の話だった。
「福祉が本当に人を幸せにするのか」
という命題にストレートの答えは無かったが、
そのヒントを得ることはできたように思う。