• 「猫の手貸します」

■■■UK
■■LONDON
■8月15〜19日

視察行程の最初の地はロンドン。
時々寒かった。そして物価が高かった。
そんな印象を持った。

ロンドンには4泊し、
それぞれ予定通りの行程をこなした。

三菱地所…ロンドンにおける開発
ロンドンでもっとも地価の高いといわれる「シティ」という地域。三菱地所はここに数棟のテナントビルをもち、世界の企業とシノギを削っている。視察出発前の事前学習において、当社社員よりロンドンにおける開発のプロセスについて聞いていた。日本の容積率などによる規制はすでに意味をなさなくなっている。いま世界で最も活性化している地域といわれているのがシティである。

この地域は、行政などの規制を強く受けるコンサーベーションエリアと位置づけられ、遠景・近景さまざまな視点からのチェックを受ける。アフォーダブルハウジング(低所得層向けの住宅)の付置義務などがつくとともに、開発負担金を支払う。

許可を受けるには、様々な段階を経る。すべてオープンなやり取りがなされる。専門家の目が入ることで、デザイン性や周辺との調和などに配慮される。

開発に至るまでにはデザインや周辺との調和に最大限配慮しなければならないこととなっている。それでも三菱地所がここにビルを構えるのは収益率が高いからである。現在、三菱地所はパタノスター地域に2棟、リバープレートハウスというビルを一棟所有している。

パタノスタースクエアにて、パタノスターの再開発を視察。道路側からビルの隙間を縫っていくと、きれいな整備された広場に人々が集う。ちょうどお昼時であったが、飲食店はどこもいっぱいだ。向こうにはセントポール寺院も見える。広場ではハープの演奏をしている人が要るなど、とにかく人が出てにぎわっていた。

東京電力…EUの政治・経済、エネルギー政策、環境対策
東電は、ワシントンとロンドンに支社を持ち、情報収集に努めている。政治経済においては、ロンドンはユーロ通貨に参加していない。それはポンドが価値が高いため、結果的にマイナスとなることに躊躇しているのが理由だという。イギリスが勢いがあることが裏付けられる。

なぜロンドンの市場が強いのか。開放性がある側面は特筆すべき点だ。「重要なのはロンドン市場の発展で、国内企業の保護ではない」と言う考えがあるそうだ。この点は日本と大きく異なっている。外資を積極的に取り入れるべく、環境整備に努めている。ロンドン市場は「原則重視の監督」「過剰な規制の排除」と重視し、市場効率や国際競争力の確保に努めている。

ブレア政権からブラウン政権へ政権が移った。これまでサッチャー政権の流れを汲み自由化路線を取ってきたブレア。ブラウンは継続して、住宅や教育、医療などを中心課題として取り組んでいく。

エネルギー政策では競争が促進されてきた。その結果、「寡占化」「料金高騰」「取り残される社会的弱者」といった問題が顕在化してきた。今後は所有分離などの対策をEUはとっていく方針だが、中心のフランス・ドイツが抵抗することが予想されている。

EUにおける地球温暖化対策は、①真に統一された市場、②低炭素社会への移行、③エネルギー効率の向上、の3点の同時達成が目標だ。先日の2007年6月のG8ドイツ・ハイリゲンダムダムサミットにおいて、2050年までにCO2ガスを半減させることを提案したのは、日本・カナダとともにEUだった。いずれにしてもEUは積極的に取り組む姿勢がある。

GLA(大ロンドン市政策立案庁)…GLA見学、GLAの環境政策
昨年、来日したハチンソン環境部長とのやり取り。コンジェスチョンチャージなどの質問が出た。

ロンドンではゴミ対策は、行政区が担当している。各区ごとに①タックスによるインセンティブ方式、②罰金による方式、のどちらかがとられている。

GLAの建てのもは独特で、一度見たら忘れられない「巻貝」のような形。議会はガラス張りの平面。傍聴席側から見ると、ある種ミュージカルなどのイベント会場にも見える。

ストラストフォード…2012年オリンピック予定地
2012年に予定されているロンドンオリンピック予定地のストラストフォード。駅を降りて住民の層が一変した。黒人や移民と明らかに分かる人の割合がほとんどである。

ロンドンオリンピック誘致の際、ロンドンは貧困層の住むこの地域を、オリンピックの施設建設を利用して改善していくことをアピールした。これがパリに勝った一つの理由だといわれている。

ドッグランズ…再開発(倉庫街⇒高層ビル群)
寂れた倉庫街が高層ビルが林立する街に様変わりした。どちらかといえばビジネス街といった印象だが、買い物客や観光客も見受けられた。

グリニッジ…世界基準時
「グリニッジ」という固有名詞は学生時代からひときわ印象深かった。駅を降り、大学を横に見て公園内へ。しばらく歩き上り坂の頂上に天文台。天文台の中に基準時の線があり、観光客がごった返していた。きれいな場所で、ロンドン市内を眺望でき、忘れられない場所の一つとなった。

ウェストミンスター寺院
ダイアナ妃の葬儀が行われた場所らしい。

その壮大さに圧倒される。ところどころに関係者の横たわる像。中庭には落ち着いた芝が。全体を見るには時間が必要だ。観光客でごった返していた。

それにしても入場料が安くない。8ポンド。日本円で約2000円だ。しかしそれも納得がいく。すべて財政面でも自主的な運営をしているとの説明があった。高いお金を出してでも内部を見てみたいと思わせる迫力を持つ。

チャーチル博物館
歴史に残る政治家の一人。博物館では、数々のエピソードが展示されている。中でもイギリス国中を挙げて行われた葬儀の映像が印象に残る。いかにチャーチルが国民の心をつかんでいたのか一目瞭然だ。ヒトラーとの戦いでは、自らの決断で勝利し、風向きを変えた。国民を鼓舞し、リーダーとしての役割を果たした。

コベントガーデン
商店街発祥の地といわれる。土曜日という条件もあってか、大変な賑わいだった。大道芸人が数箇所でそれぞれ芸を披露していた。

この商店街が発達したのは、隣のシティなどへの通勤に歩いて通う人たちの存在があった。世界的に見ても成功した商店街として語り継がれている。日本の商店街も振興策を検討する際に、大いに参考にすべき場所だと言える。

ところで。今年11月、ここには交通博物館ができる。すでに建物はできていたが、内部はショッピングのみ。さいたま市では鉄道博物館が一足先にオープンするが、大いに参考にできればと思う。

ハイドパーク
ホテルの近く。壮大な公園がある。早朝に出かけた。とても全体を回るだけの時間はない。その公園を横断するにとどめた。広大な公園で、大都市部にこれだけの敷地に緑があることは、それだけで感動をもたらす。リスはそこら中を動き回り、水辺ではアヒルの群れ場が水浴びをしていた。ジョギングをする人はアヒルの横断を避けながら走っている。このような公園が近所にあるとは、さぞかし贅沢なことだと思った。

カムデン商店街
この地域は、道路沿いに商店街が立ち並ぶ。雰囲気としては上野のアメ横。傾向としてはパンク・ヘビメタ系が多い。じっくり見る

時間は無かったが面白い場所だった。とにかく人でにぎわっていた。

リージェンツ運河下り
カムデン駅から道路を北上すると、運河が見えてくる。車社会となり引退した運河で、河下りの催しをしている。客は地元らしき人たちがほとんど。沿道の生活者や他のボートの人々がフレンドリーなのが印象的だった。

シャーロックホームズ博物館
コナンドイルの書いた小説の世界が具現化された博物館。小さな趣のある博物館だ。壁にある日本語による解説が印象的だった。日本人で訪れる方が多いのだろう。

マダム・タッソー
政治家やスポーツ選手、芸能人など有名人の蝋人形が展示してある。有名な観光の場であると聞き、足を運んだ。取り立てて何があるわけでもないのだが…。各国からの観光客で埋まっていた。ものすごい熱気で、時間の制約があり、途中で並んでいる列を逃れ、非常階段から抜け出してしまった。

▼高い!ロンドンの地下鉄料金
ロンドンの地下鉄。独特のマークが町中いたるところに点在する。ロンドンのブランドとなっている。初乗りはなんと「1000円」。物価高の象徴だった。

短期間の滞在の私たちは「7デイズチケット」を購入した。「オイスターカード」という日本の「スイカ」のようなもので、チケットを購入するよりも少し割り引かれる。運賃は地域ごとにゾーンを設け、それぞれのゾーン別に運賃が決まる。ZONE6まであり、数が大きいほど郊外に行くイメージ。

7デイズチケットは、ZONE1〜2において使用できた。ZONE3の駅まで行く時には、お金をチャージしておく必要があり、チャージ無しでは罰金を支払わされるので注意が必要だ。オリンピック施設建設予定地のストラストフォード駅はZONE3に位置するため、チャージを必要とした。

ロンドンのパブ
パブといっても日本のアダルトな雰囲気のものとは異なり、居酒屋のイメージだ。いくつかの銘柄のビールを飲みながら歓談にふけるイギリス流。夜が更けるほど、人が増えてくる。どこから人が集まってくるのかというほどだった。話をする者。踊る者。一人飲む者。まちまちだ。われわれ日本人を見て、親しく話しかけてくる住民もいた。

ロンドンの街並み
古い建築物を残している。踏み込んで言えば、「外観」を残している。内装は現代の姿になっているのだが、外観の保存は徹底しているようだ。印象に残るのは、「床が窓の間に来ているフロアもある」という話。つまり外観と内装の高さが一致せず、床の高さが中途半端でまどの真ん中に来てしまっている建物もあるのだそうだ。建物の外観を守ろうとするロンドンの気概を示すエピソードだ。

とにかく人が多い!…活気のあるロンドン
どこもかしこも、行く先々で人が多かった。東京も多いのだが、それに勝るとも劣らない。人種は多様で東洋人も見受けられた。とにかくどこに行っても人が多い。朝のハイドパークを散策した時だけが唯一の静寂であり、どの場所も、人ごみの印象だった。平日は会社員でごった返し、観光施設は観光客で、土日は住民・観光客入り乱れて混雑。夜は皆パブに繰り出して大騒ぎ。物価が高いのにこれだけの人がいるということは、それだけロンドンに活気があることを物語っている。