3月10-11日
この両日は、
島根県は美保関で行なわれた
弟の結婚式に出席するため、
遠出をした。
なぜ美保関か、といえば、
弟が住んでいるわけでもなく、
弟が大学院で研究したテーマが、
美保関の漁村であったことから
地元の方々との結びつきが深くなり、
このような形になったもの。
結婚式の中身については、
私的なことなので述べないが、
この道中で、印象深いことがあったので、
ここに記しておきたい。
★★★古い方法の結婚式と「長持歌」★★★
弟は、
単に結婚式を行なうだけではなく、
この漁村の活性化を含めて
地域のまちづくりを兼ねた
イベントにしたかったという。
NHK支局や各新聞社の記者が取材に来て、
にぎやかなイベントとなった。
結婚式までの流れは、
〔1〕新婦練り歩き。
〔2〕新婦が向こう岸から船に乗ってこちらにくる。
新郎が迎える。
〔3〕美保神社にて結婚式。
であった。
古くからある美穂神社。
http://www.shinbutsu.jp/?ID=40
なんと8世紀に編纂された『出雲国風土記』の
神社台帳に記載されているという。
ここで結婚式が行なわれた。
この中でも、
「〔1〕新婦練り歩き」の際の出来事。
まず、新婦がその親族とともに、
神社横の裏通りを親族とともに練り歩く。
細い路地の通り沿いの住人が、
次々に紙ふぶきや祝福の言葉をかける。
しばらく歩いた時、
ある家の前で一同が止まった。
一同が突然、シーンと静まり返る。
その直後に、アカペラの歌が始まる。
太ったおばあさんが民謡を歌い始めた。
これを「長持歌」というそうだ。
その家に住むおばあさんによる即興。
スケジュールにはなかった歌が始まった。
しっかりした歌声。
「長持歌」とは、民謡の一つ。
「神事や婚礼のときに長持をかついで運ぶ人たちがうたう歌」
だそうだ。
歌いながら、おばあさんの目からは涙があふれ出る。
新婦も涙をぬぐう。
周囲の人もつられてもらい泣き…。
おばあさんの涙には、
結婚の喜びや人生の節目に対する想いとともに、
こうした結婚式が約30年ぶりに行なわれる懐かしさ、
こうした日本の古い儀式が忘れられていく悲しさ、
などが込められているように見えた。
教会など華やかな場所でやる結婚式もあれば、
しみじみと執り行われる
このような結婚式も味があるものだと思った。