10月18日(金)午前、
教育市民委員会の視察3日目。
本日は旭川市立科学館「サイパル」が視察先である。
当館は、全国的に有名となった旭山動物園とともに、
予想以上の入場者数を誇っているとのことである。
ちなみに旭山動物園は、旭川が誇る有名な動物園である。
園長の個性も手伝って
独自の手法で来園者を増やしてきた。
今回の視察では、教育市民委員会の所管には
直接関わりがなかったため訪問はしなかった。
サイパルの施設の注目点は以下の通りである。
①老朽化した旧科学館を閉館し、場所を別に移して
新たにリニューアルしたこと
②ボランティアに積極的に関わってもらっていること
③観覧料の設定基準に独自性があること
④旭山動物園との連携策を進めていること
⑤入館者が増えていること
⑥館内の展示の工夫
⑦今後について
★
以下、詳しく。
■①老朽化した旧科学館を閉館し、場所を別に移して
新たにリニューアルしたこと
この施設は、1963年に開館した
旧の青少年科学館(2005年閉館)を、
2006年よりリニューアルスタートしたものである。
科学を知識と技術とに分けず、
より広く「科学の理解、普及、学習および研究を進める」
ことを目的としている。
リニューアルの際には、
生涯学習施設との併設の検討されていたが、
財政的事情から科学館単独での建設となったっそうだ。
総事業費:48億9562万5000円
地総債を活用し、9割を起債でまかなう。
このうち52.8%は交付税措置される。
3億が初期の持ち出しである。
■②ボランティアに積極的に関わってもらっていること
青いジャンパーを着た男女の方々を館内でよく見かけた。
この人たちこそ、ボランティアの方々である。
入館者に展示などの説明をしたり、
館内の案内をしたりする。
「サイエンスボランティア旭川」という団体の会員や、
高校生・大学生などが従事する。
従事する業務内容は、
案内説明員や特別学芸員、事務局などに分かれる。
「サイエンスボランティア旭川」の会員は、
有償ボランティアである。
行政が団体に負担金お支払い、
団体が、会員に対し、
バス代・昼食代の実費相当額として1000円を支給している。
■③観覧料の設定基準に独自性があること
科学館の性格などを考慮し、
また他の科学館、
旭山動物園など市の使用料などを考慮し設定された。
中学生は無料、高校生は一般の6割程度である。
■④旭山動物園との連携策を進めていること
現在、旭山動物園と共通のパスポートを発行している。
動物園に行った人がその足で立ち寄るという。
位置的には隣接しているわけでもなく、
かなりの距離があるようだが、
回遊性があるようだ。
■⑤観覧者が増えていること
当初、運営し真においては、
年間延入館者数を50万人と想定していた。
実際には、昨年62万人の入館者があった。
全国の科学のミュージアムの中では4番目だそうだ。
一位は広島の大和ミュージアム、
2位は国立の施設、3位は東京の科学館、
北海道と言う地理的な要因をかね合わせれば、
入館者でこの数値を出しているのは特異であることがわかる。
■⑥館内の設備・展示の工夫
設備や展示は、大人の私が見たり体験したり
しても興味を引くものだった。
理科の教師や大学生の意見を取り入れるなど、
展示を建都する段階において
様々な人の意見を取り入れたという。
これが一つ一つを面白くさせている
大きな要因だと思われる。
大学生の意見を取入れで作った展示。
【サイエンスシアター】
ここで職員から説明を聞く。
これまでの経緯などを聞いた。
特殊な眼鏡をかけての立体的な映像を見る。
通常は20〜30分の映像である。
客席は54席。
最前列とスクリーンとの間に広いスペースがある。
これは定期的に上映される映像の合間に、
子どもたちを対象としたイベントを行うためのもの。
【天文台】
内部には巨大な望遠鏡がある。
あいにくの雨のため、
実際に天井を空けての星の観測には至らなかった。
水を上から何本も流し、
そこに映像を映す試み。
あるポイントに立つと、
カメラが作動し、
自分たちの映像が映りだす。
【プラネタリウム】
最新の投影機(ドイツ製)で無数の星や、
映像を見ることができる。
星の動きに合わせて、
観る角度を変えることができるように、
椅子が反転できるようになっているつくりだ。
障害者への配慮もなされており、
同伴者用の席が用意されている席もあった。
短時間であったが、個人的には満足度の高い空間だと思った。
【低音実験室】
北国であることもあって、こうした展示が備えられている。
いわば市場の巨大冷蔵庫のようなものだが、
マイナス30度の世界を体験できるのである。
鼻で2〜3回呼吸するとすぐに鼻毛がカチンと凍り、
違和感を感じるようになる。
そこには、南極から越冬隊が持ってきた氷も置かれていた。
語り継がれる八甲田山(青森県)での遭難は、
この気温の中で生じたという説明があった。
【各種展示】
時間の都合上、さわりだけだったが、
興味を引く展示物がたくさん見受けられた。
特に大学生の提案を取り入れて創ったという
人類に至るまでの進化の過程を体験するコーナーは興味深い。
担当職員ではとても思いつかないことが提案された例だという。
■⑦今後について
現在直営で運営されているが、
公の施設である以上、
やはり指定管理者の検討は避けられないようだ。
また、今後も独創的な事業運営を行ない、
他の地域にない特色ある科学館作りを目指していく。
とくに展示物等の陳腐化は、科学館の宿命であり、
財源確保に努め計画的にリニューアルしていくという。
★
さいたま市の宇宙科学館は、
古い時代の産物が随所に残されている。
今後、存続していくためには、
きちんとしたリニューアルを行わなければならない。
「科学の展示などはすぐに陳腐化する」と聞いた。
それができなければ、スクラップすることも一案かもしれない。
市内に2つある必要はない。
一方で、リニューアルが上手くいけば、
入館者の増加につながっていくと思われる。