• 「猫の手貸します」

16日(月)の午後、
札幌市立資生館小学校を訪問し、
施設内を見学しながら関係者に説明を聞いた。
資生館小 入り口
札幌市立資生館小学校HP

説明をいただいたのは嘱託職員(名前を確認できず)。
教員出身で大変わかりやすい説明だった。
資生館小 説明者
各地から頻繁に視察に訪れる方がいるとのことで、
施設には、ハード面・ソフト面それぞれ様々な工夫が見られ、
参加した委員が声を唸らせる場面は何度もあった。

特徴は以下の点である。
①4校が統廃合し、できた小学校。
②札幌市の都市部(繁華街)にできた小学校である。
③小学校と同じ建物の中に、
 「子育て支援センター」「保育園」「ミニ児童館」を併設。
④建物の特徴として、「ガラス張りでどこからも見える」
 「声が聞こえ、人の気配が感じられる」
⑤小学生は全員スクールバスでの送り迎えをしている。
⑥建設費45億円(各種補助あり)。光熱費2000万円強。

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以上6点を具体的に記したい。

①4校が統廃合し、できた小学校。
2001年(平成13年) 4小学校の統廃合に関する説明会。
2003年(平成15年) 4小学校閉校。資生館小開校。
2004年(平成16年) 第1回入学式。

今年で3年目である。
5階建てで、小学校は2〜3階。1階は3つの子育て関連施設。
5階は給食の調理室とランチルーム。
校庭には芝生を張りめぐらせている。
資生館小 校庭
地域コミュニティ再生の意味も、
この小学校建設には込められているそうだ。
統廃合の際には、合意形成が大変だったという。
それぞれ歴史のある小学校だった。
校区は旧4小のをそのまま活用した。

小学校卒業後は、旧小学校区に設置されている
4つの中学校にそれぞれ進学する。

②札幌市の都市部(繁華街)にできた小学校である。
当小学校は札幌市内の繁華街のすぐそばにある。
当然セキュリティ対策に力を入れている。
外来者は必ず入り口でチェックを受ける。
校内には5つの防犯カメラが設置されているという。

私たちも受付で受け取った入館証を首から下げた。
資生館小 入館証
③小学校と同じ建物の中に、
 「子育て支援センター」「保育園」「ミニ児童館」を併設。

今回の視察で特に注目していたのは、
小学校が単独で存在するのではなく、
3つの子育て関連施設と併設されていることだ。

保育園では今年初めて卒園した子どもが小学校に上がった。
子たちがやがて親となり、
その子どもが、親の成長したこの施設で育っていく――。
そんなことを構想しているようだ。

子育て支援総合センターの特筆すべき点は、
市民でなくとも利用できるという点である。
初回の登録をすれば、
市外でも、帰省で一時的に戻ってきた者でも利用できるという。

センター利用者は校庭に出て芝生で遊ぶことができる。
小学生が校庭を使用している時には、
保護者が将来自分の子どもがどんな風に育つか、
他の小学生を見ながら想像することができる。
子育てに不安を抱える母親にとって、
こうした他の子どもの成長に接する機会は貴重だという。

小学校を筆頭に4つの所管をまたがる施設が
共存しているのがこの施設の特徴だ。
当然密な横の連携が必要となる。
月に一度、係長レベルでの会合を持つとともに、
年に数回運営協議会を開催し、
情報の共有などに努めているという。

④建物の特徴として、「ガラス張りでどこからも見える」
 「声が聞こえ、人の気配が感じられる」

施設全体がデザイン性のあるつくりとなっている。
見学するだけでも心が躍る感覚となる。
ガラス張りでどこからでも見える構造となっている。
これは安全性にも配慮した結果だ。

教室には壁が無い。
「隣の教室の声が聞こえてしまう」という意見に対し、
「教員が興味を惹きつける話し方をすることで
 それを解消するべきだ」
と教員の質の向上で対応しているとの話も興味深い。
むしろ他の教室の声が聞こえることは、
子どもたちにとっても、
他の教室の様子が伝わるなど効果的だそうだ。
資生館小 教室
金網のエピソードは感動的だった。
この施設には、安全のため、金網が設置されている。
工事施工者は、この金網を作る際、
自分の子どもの指で大きさを様々な角度から検証し、
現在の大きさにたったという。
日々をはさまれ事故にあう子どもは今のところ皆無だ。
事故は、こうした目に見えない形で、
未然に防がれているということである。
資生館小 金網
⑤小学生は全員スクールバスでの送り迎えをしている。
セキュリティ面から。
安全のため、2段階のチェックを行っているという
1つ目は、下校時「学校を出たか」。
2つ目は、「バスを確実に降りたか」。

「バスストップが校門」という考えの下、
保護者もその時間に間に合うように
子どもを通学させなければならない。

課題は年6000万円に上る費用だという。

⑥建設費45億円(各種補助あり)。光熱費2000万円強。
建設費は総額45億円。
光熱費は年2000万円強。

建設費のうち、以下の国からの補助金を利用したという。
▼「地連」(地域複合施設)…3分の1
▼統廃合…2分の1。
▼体育館の地域開放
補助金からは国の政策誘導の方向がわかる。

給食は直営。

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こんな立派な学校で学ぶことのできる子どもたちは、
どんな成長を遂げていくのだろう。

子育て施設のお母さんたちが、
明るく楽しそうに子どもたちと戯れていた。活気があった。

さいたま市でも過大規模校(30学級以上)の解消の一環で、
2つの小学校の建設・開校が予定されている。
今後も増える可能性がある。
少子化の中、さいたま市は地域によっては、
まだ子どもの数が急増する地域がある。
また、長期的には統廃合が必要な学校も出てくるだろう。

その際、子育て施設との併設や、
デザイン性に優れ、魅力的な施設建設など、
資生館小学校から学ぶことは多々ありそうだ。

また、札幌市は「子ども未来局」を行政内部に設置し、
子育てを特別に推進している。
その一つが今回の施設整備という形で現れている。
子育てに関する局の設置は、
さいたま市も見習うべきかも知れない。

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アクティブ度:5827
(さいたま〜札幌市内)

【公費】
視察費用は、宿泊費・交通費・日当で構成されている。
別途、参加議員が夕食代(2日分)として1万円拠出した。