本日は9時30分より始動。
■自治体国際化協会
当協会は宝くじにより運営されている。
東京都庁から当協会に派遣された丹羽恵玲奈氏から、
現在全国のニューヨークの住宅事情を聞いた。
アメリカの政策は分権的に行われてきた中で、
住宅政策は連邦が引っ張ってきた。
その中で、ニューヨークは独自に、
民間主導の住宅政策を進めている。
現在、中所得層がなくなりつつあり、
高額所得層と低所得層の2分化が進みつつある。
そのため中間層に対する住宅政策も行なわれている。
「人種のるつぼ」と言われるが、
4割の居住者が英語以外の言語を話すそうで、
住民に情報を伝えるのも困難をともなうと言う。
全部で344の「プロジェクト」と呼ばれる
低所得層への住宅政策がある。
これはNY市だけではなく、
州や住宅供給公社など様々な主体によって行なわれる。
公営住宅は、外からは、
どこに低所得者が入居しているか
がわからないよう配慮されている。
収入の3分の1が家賃となるが、
東京よりは住宅政策が手厚いようだ。
■ニューヨーク市住宅保全開発開発局
ニューヨーク市庁舎内にある。
KIMBERLY D.HARDY氏、
CRAIG MONTALBANO氏、
REGINALD EVANS氏に対応していただいた。
最初の対応が洗練されていた。
●私たちがすでに基本的な事項を
把握していることを知っており、
説明は省き、すぐに質疑応答に入ること。
●日本の住宅政策について
基本的な事項を把握していること。
●自分の担当外でもなるべく答える。
すぐに応えられない場合は後ほど答えること。
HARDY氏は、こう切り出した後、本題に入った。
344の「プロジェクト」の主体は、
住宅公団、市住宅保全開発局、住宅開発公社が
それぞれである。
市が所有していた住宅物件については、
基本的に民間主導に切り替えていく方向である。
管理に高いお金がかかるためだ。
以前は、納税を怠った人から市が土地を収容したが、
1986年、ジュリアーニ市長誕生後、
高コストを理由に民間の手に渡そうという流れとなった。
その方法は、古い住宅物件について、
土地を無償に近い額で民間に売るというもの。
アイデアコンペを行ない、
資金源や地元コミュニティと奈兼ね合いなどで
売却先が選ばれる。
アフォーダブル住宅を確保すること、
一定期間そのサービスを提供することを条件としている。
期間は物件により異なっている。
民間業者とすれば、
安く土地を譲り受けることはメリットであり、
行政とすればアフォーダブル住宅の担い手を
民間から調達できるのである。
ニューヨークの住宅事情は大きく変わり、
需要の要請が急増したことに対し、
ブルームバーグ市長は再選後、
16万5000個の住宅の確保計画を打ち出した。
75億ドルのプロジェクトである。
アメリカでは、アフォーダブル制度について、
「80%-20%法」があったが、これを見直したという。
この法は、住宅政策の方向性について、
80%の市場の領域と20%の低所得層の領域への
振り分けを示している。
これが現在、
「50-30-20」の割合となっているという。
このうち「20」は低所得層の領域への
住宅への提供で「80-20」と変わらない。
異なるのは「80」が「50」と「20」に分かれたこと。
「50」は市場、「20」は中間所得層である。
つまり、中間層も支援を必要とすることが
認識された結果できた法律なのである。
中間層が減り、
高額層と低所得層に2分化しつつある
との自治体国際化協会での話を裏付けている。
★
入り口からロビーを入ると、そこには、
飛行場並みのセキュリティチェック。
開発局の部屋に入る時もオートロック。
市役所までがこのような状況である。
ニューヨーク視察では、
訪問する場所のほとんどで、
「VISITOR」というシールを
胸に貼らねばならないルールとなっていた。
■三菱電機
三菱電機所属の
セオ氏、タカミヤ氏、タカセ氏の3名に、
アメリカにおける
三菱電機の業務内容をお聞きするとともに、
REDAC所属の市川氏に、
アメリカの住宅事情について聞いた。
すべて日本人の企業人である。
○三菱電機
地下鉄のエアコンなどを手がけている。
日本の製鉄会社と組み、
ニューヨークの地下鉄のかなりの割合の
車両に関与しているという。
また、ほかにも、バスや橋、トンネルに
関わりを持っている。
○住宅事情
一時ITバブルがはじけて冷え込んだ住宅市場が、
投資家や弁護士等が雇用を始めたことから、
住宅のニーズが高まった。
現在は「貸し手市場」である。
2005年は平均6%の家賃上昇で
マンハッタンの加速度的な値上げ、
ニュージャージでの最低家賃の底上げ。
今後も物件不足、家賃上昇が予想されるという。