本日午前・午後、自治政策講座の2日目。
■第5講義 地球環境温暖化防止と自治体-バイオマスの可能性
■横山伸也氏(東大農学生命科研教授)
横山氏は、バイオマスエネルギーの特徴や可能性を
幅広い観点から述べた。
バイオマスエネルギーとは?
・再生可能エネルギー。
・地域おこしにつながる。
・多様なエネルギーに変換。
バイオマスの可能性。
・新エネルギーの5〜10%との試算されている。
・伐採分をエネルギーとして使用しても、
土壌に入る炭素は増え続ける。
つまり伐採を前提に考えることができるエネルギーである。
バイオマスはわかりにくい。
・変換技術が多様。
・木材から家庭ごみまで様々な物質
木材を上手く使用する例は「北欧」が多い。
・林業が上手く回っている。
・未利用分を運搬し、電気と温水で各家庭に。
・熱需要が高いことが背景にある。
・なだらかな山の傾斜で搬送しやすい。
バイオマスの阻害。
・コスト高。
・スウェーデンは課税で対応。
・ドイツは規模によって対応。
アジアの現状。
・急激な資源消費にともなう資源の枯渇。とくに中国。
バイオマス導入の方策。
・地域の熱意が重要→リーダー
・参加者のメリット→有形・無形
・面白いアイデア→ユニークさ
・適切な規模→目の届く範囲
・長続きすること→無理をしない
・政策とのマッチング→予算規模
・技術的な裏づけ→科学的アプローチ
■第6講義 分権時代の都市再構築-すみやすいまちづくり
■講師:大村謙二郎氏(筑波大教授)
大村氏は、成熟社会に入った日本社会の状況、
欧米の潮流を述べた上で、
日本の都市再生の課題を論じた。
成熟社会。
・地球温暖化。
・交通網の発達。
・少子高齢化。住宅ストック過剰。
・大都市圏への人口集中。地方圏人口減少。
・高度成長期・バブル期・ポストバブル期で、
地域や住まい方などが変化し、住宅供給の傾向が異なる。
大きな社会経済環境の変化。
・低密度に拡大し続ける市街地。
・市街地への要請…コンパク化・持続可能性。
・ホットスポットとクールスポット
・産業構造の変化…農業・工業の変化。グローバル化。
市民意識の変化。
・価値観の多様化。
・情報公開。プロセスの透明性。
・専門家の役割重要。
20世紀型都市計画の見直しと継承。
・多様性・分散的意思決定。
欧米の都市策
・PPPや持続可能性。
・アメリカは、シティ・イン・シティなど
・イギリスは多様な主体による。
・ドイツ。日本と似ている経緯。EUの環境方針の影響。
地域マネージャーを貼り付ける。東ドイツでは人口減少。
都市再生の課題
・分権・市民参加はまだ途上。
・欧米をパッチワーク的に学んだ。
・地方自治体は国の意向を重んじるより、
自分たちの環境を守るボトムアップ型へ。
・日本の地区計画はドイツに習ったが…。
日本が今後取り組むべきこと
・周辺への波及。
・中心市街地はそれぞれの類型ごとに細かく見ていくべき。
・計画的地区(ニュータウンなど)も再生問題。
・都市構造変化のトリガーとなる部分を再生へ。
・既成市街地の魅力を取り戻す。
・多様な主体の参画と多様な価値観の実現
・都市景観の質を高める。
・新産業・文化の誘発…21世紀美術館(金沢市)。
・維持管理の容易なストックの形成に貢献。
都市計画法の壁が強い。地区計画の工夫方法は?
・地区計画は自治体の都市計画。
・提案制度に。芳情の制約はない。
まちづくり条例の高さ制限は?
・都市計画法では高さ制限できる。
・地区計画で対応したほうが現実的。
「白地地区」の利用は?
・今回の都市計画法の改正で、
白地地区でも提案ができるような仕組みになった。
農地活用型の交流ゾーン。
準都市計画・地区計画化。
都心回帰で人口増?
・スピーディーのネック。
・土地への執着が強い日本人。
■第7講義 笑顔の咲くまちづくり-高齢者の力を引き出す上勝町
■講師:横石知二氏(㈱いろどり副社長)
お年寄りの元気さでおなじみの上勝町。
この立役者である横石氏の話。
下請けの時代は終わり、地域の資源を活かす時代に。
人間は自分の出番がある。
社会とつながっていることが大事だ。
2136人、高齢化率46,27%。普通なら廃村だ。
寝たきり2人。今の医療費は行きすぎだ。
働く場所があり、元気だ。
町には基金30億ある。どんどん積み立てる。
ゴミのリサイクル34種類。2020年までにゴミゼロに。
ゴミが3分の1に減った。
施設を作るのではなく、いかに減らすか。
「きれいな町を作る。だから葉っぱが売れる」
特区で「有償ボランティア輸送」
木質バイオマス(間伐材)活用温泉
地域資源を徹底して活かしている。
その結果、U/Iターンが多い。若者殺到している。
馴れ合いでは事業はできない。
悪い慣習からの脱却。
田舎は負け組み意識が強い。
暇すぎるのは良くない。
大都市には「葉っぱはない」。
苦肉の策で料亭通いでヒントをつかみ、
町の人たちを料亭へ連れて行き、
自分を知ってもらう。
平均年齢70歳。190人。
320種類の葉っぱ。航空輸送。
これからは地域で仕組みを作ることが大切だ。
高齢者専用パソコンを作った。
国の100%補助を利用。
仕組みをつくり、人の意識を変える。
仕組みを変えなければ、長年の生活習慣方抜け出せない。
かつて同じ道を通る習慣…安心感・考えなくていい。
自分で考えるように。
仕組みを変えるしか方法はない。
今まではリーダーがいたが、
これからは個々の意識。プロデューサーが必要。
自分の問題意識。脳を鍛える。
「情報で気を育てる」→自分に磨きをかける。
子どもが地域からいなくなっては、気がなくなる。
「価値」(=地域)を売る。
★
自治体議会政策学会の講座は、
視察も含めると3日間にわたった。
参加者は全国各地の地方議員約160人。
皆、質問も鋭いものが多い。
今回得たことを市政に少しでも還元できるよう、
努力したい。
※この他、第4講義として、
佐々木信夫氏(中大教授)の講義があったが、
所用で欠席した。
【政調費】
昨日と同様(交通費/参加費)。