• 「猫の手貸します」

昨日夜、スウェーデンの高福祉に
関するセミナーに参加。

明大大学院に通い始めたこともあり、
なるべく「行かねばならない」
というものだけに絞って
研修会等に参加しているが、
今回は、それだけの意義があると考え参加した。

■「現役の作業療法士が語る!
  変化をしつづけるスウェーデン高福祉の現場」
■講師:河本佳子氏(作業療法士)
    …スウェーデンに36年在住
■場所:スウェーデン大使館

言うまでも無く、スウェーデンは
「高福祉」で世界的名声を得ている。

現在の「インクルージョン」に至るまでの
スウェーデンの福祉の歴史的経緯の概要や、
福祉における哲学・思想の
日本とスウェーデンの違いなど、
河本氏の話は多岐に及んだ。

★スウェーデンの福祉の歴史
(河本氏が示したもの)
貧しい農業国
厳しい階級制度
貧民介護法
集団収容所の増設
産業革命―社会民主
ノーマライゼーション
インテグレーション
地方分権
インクルージョン

このセミナーで最も収穫があったのは、
次の言葉を聞くことができたことだ。

「目の前に大きな鯨のステーキを置かれても、
 一度に食べることはできない。
 どんなに食べたくとも少しづつ食べる」

これは参加者からの質問に答えた際に出た。
日本の福祉の現状を憂う言葉に対しての返答だ。

スウェーデンの福祉も少しづつ変わってきた。
そして日本の福祉も少しづつ変化していくのだ、
という意味である。

日本での福祉政策の議論において、
スウェーデンの福祉を
目標とすることを間違いだと思わない。
しかし、私が最も学ぶべきだと思うのは、
でき上がった結果のみに注目するのではなく、
個人を大切にする民主主義の環境の中で、
積み上げてきたプロセスであり、
実験的な政策の試行錯誤を経て
現在の水準に達したという事実だ。

スウェーデンの福祉は「変化し続けている」。
このことこそ私たちは学ぶべきで、
変化を恐れず、社会にとって最もいい方法を
選択していくことが望ましい、
と改めて学ぶことができた。

「日本にもたくさんいいところがある」

日本とスウェーデンの
両国で生活したことのある河本氏だからこそ、
説得力のある言葉だ。

とくに身近な人付き合いや、
複雑な社会構造、サービス精神などの面では、
スウェーデンに勝っているという。

また、スウェーデンで重視されている
「権利主張」も現場においては
行き過ぎるケースもあるそうだ。
この点は日本人のほうがいい、
という趣旨の話があった。

私はスウェーデンの福祉の政策を
そのまま移植するということよりも、
これらの特色や良い面を土台にして、
「日本独特の福祉」を作り上げていくことこそ、
大切なのだと理解した。

河本氏は、日本の社会の改善点として、
・年功序列はいいところもあるが、
 対等に話ができるようにしたほうがいい。
・政治は小さい頃から教育に組み込む。
 これによって政策の議論を中心に
 政治に参加するようになる。
などにも触れていた。

【政調費】
交通費:北浦和〜六本木一丁目(JR/東京メトロ)
参加費:1000円