• 「猫の手貸します」

先日「噂の東京マガジン」(TBS)
というテレビ番組で、
古くなった墓石の処分をめぐる
内容が取り上げられていた。

これについて、
さいたま市の現状などを担当職員に聞いてみた。

●テレビ報道の内容

ある自治体で、古くなった墓石を
業者が勝手に人の土地に放置し、
そのままにしているという。

浮き彫りにされたのは、
「墓」という性格上、
「不法」投棄と言い切れない、という点であった。

近所の人たちは精神的に困惑しており、
産業廃棄物を所管する県の職員も、
制度のあいまいさの中で、
対応に苦しんでいるという。

●墓石の豆知識と事件の背景

墓石は新設されたときは『お精入れ』、
古くなったお墓を取り替える際には『お精抜き』
という儀式をそれぞれ行なうという。
(宗派によって考え方は異なるようです。)

『お精抜き』を終えた後の墓石は、
扱いは単なる「石」にすぎないが、
これまでその墓石に何人もの人が
手を合わせてきたことなどの経緯を念頭に入れると、
単なる「石」と言い切れるものでもない。

現在は、業者や寺が古くなった石を引き取り、
それぞれ処分しているという。

その自治体の近所の寺は、
山の斜面の広大な土地に
古くなった墓石を敷き詰めていた。

放送では事件の当該業者は、
「現在、処分を進めている」
との回答を寄せたようだが、
いい加減な業者が、
『お精抜き』後の墓石の処分を頼まれた際、
その処分の費用を預かりながら、
お金のかからない方法で、
人の土地や旧墓石の管理地などに勝手に放置する例は、
全国に見られるそうだ。

●さいたま市の場合

今回気になったので、
さいたま市行政に電話で聞いてみた。

★産業廃棄物指導課
・現在、廃棄物という扱いにしていない。
・テレビ番組で取り上げられたような事例は、
 これまで届いていない。
とのこと。

もし、誰かの土地に突然墓石が放置された場合は、
産業廃棄物の「不法」投機に対するような
行政の行動は取れないようだ。

★生活環境課
さいたま市行政が管理している墓地について、
古くなった墓石の処分は、
どの様にしているのか聞いてみた。

・さいたま市の管理している墓地では、
 行政が自ら古い墓石を処分するケースはない。
・行政は墓の区分の権利を利用者に供給する立場である。
・利用者がそれぞれ処分は自ら行なっている。
・利用者からの処分に関する問い合わせも特にない。
とのことであった。

さいたま市では、
今のところこうした問題は生じていないとのことだ。
ただ、見沼の盛り土事件を思い出すと、
いつ外から持ち込まれ投機されるか
分からないという教訓がある。

こうしたケースにおいては、
さいたま市として、
産業廃棄物担当の所管ではないとすれば、
どこの所管が、どのように対応するのか、
という疑問は残る。
いずれ確認してみたい。

ただ、各自治体行政の対応については、
「お墓は廃棄物に含まれない」という趣旨の
国(中央政府)の通知(だと思われる)を
根拠としている節がある。
最終的には、
国の制度設計自体のあいまいさが
引き起こしている問題かもしれない。

以上が現在分かる範囲の報告である。