• 「猫の手貸します」

昨日午後、無所属の会の研修で、
市税制課職員にヒアリングを行なった。

今国会で予定されている税制改正によって、
さいたま市へどんな影響が生じるのか、
という点がポイントである。

●平成15〜18年の3年間で、
地方分権の具現化である
三位一体改革が進められてきた。

三位一体改革とは、
地方分権の実質的な推進を狙い、
①国(中央政府)から地方(地方自治体)
 へ支出される 補助金の廃止・縮減
②国から地方への税源移譲
③地方交付税の改革
を一体的に同時に進めていく、
というもので、
小泉首相の主導で始まったもの。

このうち①で約3兆円分の補助金等を廃止・縮減し、
その分、平成19年度以降は、
②で地方が税を、
直接徴収できるようになるものである。

徴税の観点から言い換えれば、
以下のようになる。

私たちの支払っている税のうち、
「所得税」は、源泉徴収という形などで
「国」に徴収され、
それが補助金などの形で地方に配分されてきた。

市民(納税者)→国→地方→市民(受益者)
という循環であった。

これが補助金の廃止・縮減に伴って、
その浮いた額と同じ額を、
恒久的に地方側に直接徴収することが
できるようにしようと言うものである。

市民(納税者)→地方→市民(受益者)
という簡素化された循環となる、ということだ。

これには
国を経由してくる補助金等は、
国の意向が入りすぎ、
現場の地方の意向との
ギャップが生じていたという背景がある。

●この改正で所得税(→国へ)を、
個人住民税所得割(→地方へ)に振り替える。

後者を、これまでの3段階(5%・10%・13%)から、
「10%」に一本化する法律案が国会で審議される。

5%の負担で済んでいた市民(納税者)は、
負担増となるのではないか、と想像される。

職員によれば、結論としては、
たしかに個人住民税所得割は、
10%フラット化するが、
所属税の税率変更や
税控除などを組み合わせにより、
プラスマイナスは変わらないように
配慮されるであろう、
とのことであった。

●税制は年を追うごとに
益々複雑となってきている。

国と地方の役割分担や、
消費税か所得税課など、どの税が適切か、
といった大切なことを抜きに
税制が決められているのではないだろうか。

税と行政の行なっている事業とが
相関関係を持つべきだが、
三位一体改革の最終年となっているにもかかわらず、
どちらもまだまだ国を経由している感は否めない。

この調子であるから、
税制は今後も毎年のように変わっていくようだ。
そうすると現場の職員は、
そのつど仕事内容の変更を余儀なくされて、
事務的にはこなすことが
困難なことも予想される。

静岡県の構想で、
県と市町村の共同の税徴収システムを構築し、
合理化を図るという考えもある。

大変難しい状況に来ているが、
こういう時だからこそ、
民主主義社会における税制の議論を
喚起していく必要性を感じている。