• 「猫の手貸します」

23日午後から夜にかけて、
明治大大学院の危機管理「図上訓練」に参加。

■図上訓練とは、
呼んで字のごとく、
「図」上の訓練だ。

関係者は地図等を囲んで、
そのつど入ってくる情報を基に、
本部長を中心に対応していく。

消火器の訓練やバケツリレーなどの
いわゆる防災訓練とは異なり、
市長や助役等、
災害対策本部の構成員が集まり、
大規模災害が起きたとの想定下で、
実践ながらの行動をとるもの。

つまり組織中枢の為の訓練である。

■この日のお昼からスタートし、
夜19時まで、
「1日目」「2日目」「3日目」と、
時間ごとに日にちを変化させ、
そのつどの行動をとる。

■今回は実際の行政職員ではなく、
学生を中心に配役が決められ、
それぞれの立場で行動した。

これらの実際に動く人たちを
「プレーヤー」と呼び、
プレーヤーに状況を提示したり、
指示を出したりする人たちを
「コントローラー」と呼んで2者に分かれる。

コントローラーのほうが気楽な反面、
プレーヤーのほうが緊張感の中で
行動することによって得るものは大きいだろう。

私はコントローラーに配置され、
総理大臣役と記者役を兼任した。

■今年11月下旬、
ある自治体でマグニチュード7.2の地震が発生した。
当然、死者も出るし、負傷者は多数出る。
死者は葬祭場へ。負傷者は病院へ。

市内の社会インフラはかなり破壊される。
橋は落ち、道路は陥没。
公共施設も一部は倒壊する。

民間の住居は数千戸が全・半壊に。
発生から4時間。
市の対応は…。

現状把握もままならない中、
国からは防災大臣が来庁し、
その対応に追われる中、
報道記者たちは、怒鳴り声を上げ、
取材を求める。

混乱に告ぐ混乱。
情報は錯綜する。
一分一秒でも速い対応をしなければ、
人命に関わる。

そのつどの適切な判断が求められる。
救助等に当たる人員の数は限られている中、
誰をどこに送るのか。

どの地域はどんな状況で、
どんなものが必要か。
今何ができるのか…。

2日目。少し筒落ち着いてきて、
被害状況は明らかになっていく。
余震は続く。
記者は睡眠不足もあり、
苛立ちながら質問。記者会見は混乱。

3日目には総理大臣が訪問。
本部長を務める市長が、
首相に対し、被害状況報告や協力要請をする。

その時、議長が首相と市長との間に割り込み、
住民のミクロの立場の要求をする。
首相と議長の板ばさみになる市長…。

3日目の記者会見は少し落ち着いていた。
広報担当者が仕切る。
あいかわらず記者たちの矢継ぎ早に飛んでくる質問を
必死にかわす市長ほか幹部。

答えに対しては、
言葉尻を捉えられ、
さらに厳しい質問や指摘が飛ぶ。

記者会見を最後に、
訓練が終わりを告げた時、
誰ともなく、拍手が起きた。

■本番さながらの訓練。
プレーヤーに聞くと、
「とっさに判断できなかった」
「時間を追うごとに動けるようになってきた」
と言う。

しかし、阪神大震災を目の当たりにした人の話では、
「こんなものではない」。

いい経験をさせていただいた。
この模様はビデオにとられており、
講評は年明けに行なわれる。

私は首相役だったが、
こうして私の政権は短命で終わった…。

【政調費】
交通費(バス代・電車代)のみ。