• 「猫の手貸します」
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太陽の光が薄い雲に遮られ、
少し強めの風吹く午前。
私は人生で初めて上中里駅に降り立った。
なぜかと言えば…
電車を乗り過ごしてしまったからである。
その原因は、春の微睡みではない。
私はそうならないよう、
あえて立っていたのだ。
原因は…
スマートフォン。
インターネットがどこでもできる、
ということは、日常の仕事も場所を選ばないということ。
かくして私の電車移動は、
貴重なメール送受信、
TwitterやFacebookなどの時間なのである。
この日。
Amazonで頼んでいた本の注文確認のメールが入ってた。
普段あまり見ることのない、
その注文欄をふと目を通したところ…
ナント!
数量が「2」になっていたのだ。
同じ本を二冊も注文するはずはない。
恐らくクリックを二度してしまったのだろう。
早速、キャンセル手続きに入る。
シンプルな操作でキャンセルは容易だったが、
肝心のキャンセルが実際にできたかどうか、
気が気ではない。
ようやく、メールが入り、
キャンセルできたことを、
ほくそ笑んでいた、丁度その時。
電車のドアが閉まる音。
窓の外には、
「王子」の駅名の看板が通りすぎていく。
私は別れを噛み締め、
即座に気持ちを切り替え、
次の駅に向かったのでした。
で人生初、と相成ったわけであります。
最後に一句
束の間の
スマートフォンで
春の風
お付き合いいただき、ありがとうございました。