• 「猫の手貸します」
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議員向けに開催された普通救命講習に参加。
さいたま市消防職員の指導による。
スライドによる説明後、
写真の通り、人形を使用しての実習を行なった。
重要なポイントは、心肺停止で倒れた人に対し、
心肺停止の方に「胸骨圧迫」をすること。
ドラマなどでよく見るが、
手のひらを相手の胸の真ん中に充て、
そのまま腕を垂直に下ろし繰り返し上下する。
コツは大人に対しては5センチの上下。
子どもは体の約3分の1程度が目安。
これは、ポンプである心臓が止まったあと、
脳に血液を送るために、
心臓を他人の力で圧迫するものである。
つまりこうした時に重要なのは、
脳にとにかく血液を送り、
酸素を継続的に補充させておくことである。
時間がたつほど、脳の損傷は致命的となる。
救急車が到着するのが、
さいたま市では平均8分。
それまでの間、脳に酸素を送ることができるかどうか、
それが命の継続のカギを握るのである。
さて。
救命講習では以下の手順を学んだ。
周囲の安全を確認し、周囲の人を呼び、
119番通報、AEDの手配を求める。
119番の通報が何よりの優先だ。
この時、救急の専門家に
何をすべきかをアドバイスしてもらってもいい。
通報後、倒れた人の胸の膨らみ具合で呼吸を確認。
通常の呼吸が確認できない場合は、
先ほど触れた胸骨圧迫を30回続ける。
そして2回、人工呼吸。これを繰り返す。
人工呼吸では、アゴを指で上にあげ、
軌道を確保して行なわねば酸素が体内に到達しない。
これを救急車がくるまで繰り返すのだが、
その前にAEDが届いたら、
まずスイッチを入れて、ガイダンスに従い使用する。
服を脱がせ、心臓を挟んだ2か所にパットを装着する。
ボタンを押すと、電気ショックの必要があるかどうか、
器械が判断してくれる。
なお、電気ショックの瞬間に、
倒れた人に接触していると感電する恐れがあるので、
ボタンを押す前に、
必ず他人が離れるよう誘導しなければならない。
ただ、感電しても命に別条はないという。
ちなみに。
「AED」とは、止まった心臓を動かすものではない。
痙攣し、すごい勢いで余計な動きをしている
心臓を止める(休ませる)もの。
この痙攣状態を「心室細動」という。
それを取り除くことを「除細動」といい、
これがAEDの役割となる。
だから。
AEDで電気ショックを与えたからといって終わりではない。
やはり「胸骨圧迫」で酸素を脳に送り続けなければならない。
心臓はまだ動いていないからだ。
とにかく救急車が到着するまで胸骨圧迫を繰り返す。
もし倒れた人の意識が途中で戻ったら、
胸骨圧迫の苦痛から手を振りほどいてくるので、
それをもって中断すればいい。
この講習。
3時間の講習のかなりを実習に費やしたが、
参加した議員は誰もが真剣に参加し体を動かした。
それでも。
この講習を受けたから、いざという時に使用できる、
というだけの自信がついたか、と問われれば、
私自身はそうとは言えない。
いざという時には、
救急隊員でさえパニックになるというから、
素人の立場としては仕方がないのかもしれないが、
命の継続を念頭に当事者意識をもって、
常日頃からこの講習で学んだことを
意識に置いておく必要があると実感した。
昨年10月。
さいたま市内の小学校校庭で、
小学生が突然倒れ、死亡する事故が起きた。
事故が起きたのは、駅伝の練習中。
ゴールして突然倒れた。
そのまま救急搬送されたが、
病院にて特殊な治療も含めて行なわれたものの、
結果的に亡くなった。
朝玄関で元気な子どもの姿を見送った親御さんの気持ちは、
心中察するに余りある。
駅伝の練習すら行なっていた健康な子どもだったのだ。
何より、これから人生が待っていたはずの本人が無念だろう。
「もしAEDがその場で使用できていたら命が助かったのかもしれない…」
学校や教育委員会の職員も、家族も、そして私たちも、
この件を知った誰もが同様の考えをもつに違いない。
失われた命は残念ながら戻ってこない。
この小学生の死を無駄にしないためにも、
全市的、恒常的な取り組みで、
命を継続するための環境を整えたいものだ。
この事故を重視し、さいたま市教育委員会では
全校の教員、生徒に対し、こうした救命講習の機会を創るという。
突然の心肺停止は、
どこでも誰でも起こりうるものとして、
私たちは備えておく必要がある。
そんな思いこめて、私自身も今回の講習に参加した次第だ。
一般の方も、一定の人数が揃えば、
講習を受けることができる。
ぜひ受講をおすすめしたい。