• 「猫の手貸します」

だいぶ前の話だが。
私にとって大きな衝撃的できごとであり、
今後私たちに自覚を促す重要なことだと考えるので、
ここに記しておきたい。
7月下旬のことだ。
教育委員会の職員が、議会に説明に来た。
「申し訳ない」と前置きをしながら、
その職員は一枚の紙を手渡し説明を始めた。
そこには次のような見出しで
文書が作成されていた。
『平成23年度さいたま市姉妹都市教職員派遣・受け入れ事業の中止について(報告)』
本市では、姉妹都市の一つ、
「リッチモンド市」と交流事業を行っているが、
7月に教職員の派遣を受け入れることとなっていた。
ところが、リッチモンド市側から
「派遣を中止する」との連絡が入ったと言う。
燃料費の高騰とともに、
中止の理由にあがったのが、
「地震、放射能への恐怖感があること」
だったそうだ。
東日本大震災の最初の外国人の被害者が、
リッチモンドの出身だったため、
現地のマスコミで大きく取り上げられたという。
こうした要因で、
日本で私たちが実感している以上に、
恐怖感を駆り立てているようなのだ。
この一件を聞いてからというもの
頭から離れず、いろいろな想像を巡らせている。
地震はまだしも、
特に放射能汚染についてである。
この夏。
スペインを訪問したことは、
すでにブログでも述べている。
その際、バルセロナの強い日射しの下、
コペンハーゲンから旅行に来ていた家族と、
話をする機会を得た。
様々な話の流れで打ち解けてきたことから、
私は、日本の放射能汚染に対する
外国人の恐怖感を払拭するいい機会と考え、試みた。
トウキョウ イズ セイフティ…
こう話したところ、
笑顔が消え、相づちが無くなった。
明らかに言葉の前後で態度が変わった。
振り替えれば、不可思議な、
つたなすぎる無手勝流の私の英語だから、
伝わらなかったのだとも思える。
よく解らないから
反応できなかったのかもしれない。
でも。
もしかしたら、危惧した通り、
東京の安全性に疑問を持っていた
からなのかも知れない。
リッチモンド現象は、
リッチモンドにとどまらないのではないか。
草の根の、世界の人々に、
現在に至るまで大変な恐怖感を与えてしまっており、
日本の国を回避する行動にまで
繋がってしまっているのではないだろうか。
確か私たちも、チェルノブイリのときは、
詳細を継続的に確認することまではせず、
どこかに危険な場所という固定観念を持ち、
そしてその周辺の国や地域の作物を、
意識的に回避した記憶がある。
私は自覚するべきだと思う。
放射能汚染により、
海外の目も当然厳しくなっている。
そしてこれは、
少なくともセシウムの毒性が
ほとんどなくなるまでの間、
継続することとなるのではないか。
海外の恐怖感を払拭するに足る、
放射能の除染除去、
そして商品の徹底管理による安全確保。
その上での海外への積極的アピール。
これは意識的にやっていかねばならない。
そうでなくとも、国内経済が厳しいので、
海外に農産物を輸出したり、観光に来てもらったり、
そんな形で生き残り策を図ろうとしていた矢先だ。
今後ますます海外との関係のなかでしか、
国の発展はあり得ないだろうから、
大変な深刻な事態を迎えているのだ。
東京オリンピック誘致を、
東京都が再び目指すとの発表があった。
オリンピックとは単なるスポーツの祭典ではなく
時刻の課題とそれに対する
解決策を世界に知ってもらういい機会だ。
そう考えると、
前向きに考えていいと思っている。
もがきながらでも、立ち上がっていかなければ。
いずれにしても。
世界の人々の心には、事実かどうかは関係なく、
日本の汚染の印象が植え付けられてしまっている。