• 「猫の手貸します」

11月2日。事業仕分けを実施した。
「7事業に『不要』」といった見出しをはじめ、
このときの結果は複数の報道機関に取り上げられた。
傍聴者は約150名。
インターネットのアクセスは1000PV。
注目を集めた取り組みだった。
今、その仕分けの結果を踏まえて、
取りまとめ作業を行なっている。
「会派の政務調査活動」として実施したものであり、
この取り組みをどう活かすか、
私たちは問われることとなる。
その取りまとめ状況や
その後の市政への反映については、
随時、このブログなどで示していきたい。
以下、今回の実施においての、
現時点での私の率直な感想。
まずもって有意義な試みだった。
何より私たち議員にとって、
自分たちの議会での取り組みを客観化する機会となった。
もちろん私たちは、
この時代の責任を引き受けるべく、
日々研鑽を積んでいるつもりだが、
それでも、至らない点がある。
新たな着眼点をいただいたことは、
私たちにとって実施の最大の効果だった。
構想日本からの仕分け人としての
経験を積んでいる方々からの
経験を踏まえた傾聴に値する意見を
聞くことができた点は言うまでもない。
これに加え、
今回独自の試みだった「公募市民仕分け人」
からの意見。
「市の事業の詳細に触れたのは今回が初めて」
という方々ばかりだったが、
事前の調査から、仕分け時の鋭く的確な視点。
市政に関し、市民もこれだけの判断ができる、
と実感させていただいた機会だった。
ところで。
説明員として協力いただいた
市職員の方々にとっては、
どんな機会となっただろうか。
今回。
職員の協力を得るまでには、
表に出せないことも含めて、
大変な苦難の道のりがあった。
協力いただいた職員の方々にも、
様々な点で気を遣わせてしまったことだろう。
大変感謝している。
その上で厳しい指摘もしておきたい。
今回、「不要」の判断が7事業で出た。
この理由を含め、
各事業の仕分け作業において、
仕分け人から度々出たのが、
「説明が不充分」
「成果が不明確」
「民間はもっと厳しい」
といった言葉だ。
特に、説明力が不足していると指摘された点。
これは深刻に受け止めなければならない。
職員の中には、
「今回は仕分け人による乱暴で極端な意見だった」
と受け止めている人もいるかもしれない。
ところが、そんな悠長なことを
言っていられる状況ではないことを、
強く認識しなければならない。
「今まで経験したことのない状況です」
昨今、民間企業で勤めている人たちに話を聞くたびに、
まず口をついて出てくる言葉だ。
すでに周囲は、
これまでに経験したことのない、
深刻な事態に直面しているのだ。
この市民の率直な気持ちをくみ取るべきだ。
特に納税の義務を
果たしている納税者の理解なくして、
市政は成り立たない。
生活が縮小していく、
この時代ならではの状況に直面していながら、
税を納め、市政を支えてくれている方々に、
市政の政策の企画・立案をしている職員という立場として、
理解と納得を得る姿勢は不可欠である。
納税者の納税なくして、
市政サービスの原資を安定的に得ることは困難だ。
確かに仕分けへの批判は様々ある。
「短時間の仕分けで何ができるか」
「外部の人間に具体的な判断はできない」
「仕分け人らの意見は乱暴だ」等々。
しかし。
仕分けの特徴は「外部の目」により、
「公開」の場で行なうというもの。
仕分け人への説明は、
つまりはさいたま市政を支える
納税者への説明を兼ねている、と言える。
公開するということは、仕分け人も問われることとなる。
だから仕分け人も自ら緊張感のある中で臨んだはずだ。
その仕分け人に「説明が不充分」と指摘された言葉を、
納税者に厳しい指摘をされたこととして受け止め、
改善を志向していくべきである。
これらを教訓として取り組むならば、
今後の市政は大いに質の改善につながっていくことだろう。
こうした指摘の一方で。
市職員への厳しい指摘は、
議会、そこに所属する議員が指摘されたことと
同等に受け止めなければならない、
と強く認識している。
私たち議員は、行政職員に対し、
仕分け人と同等に
指摘だけしていればいい立場ではない。
議会は常設の行政改革機関である。
行政の動き方やあり方、税金の使い道を、
それぞれ決定する権限を与えられている。
私たちは、これまでも、
議会を通じて職員に説明を求めてきた立場なのだ。
職員が説明が充分ではないということは、
議会が、これまで、
「充分な説明のできない体質の行政を放任してきた」
と言い換えることもできる。
私は、声なき声として、
「これまで議会は何をしてきたのだ」
という意見として受け止めている。
議会もまた、そのあり方を改善し、
質の改革を進めなければならない。
いずれにしても、
今回は本格的な事業仕分けの初めての試みだ。
反省点や改善点もあるが、
この仕分けのような試みを
行なっていく流れは止まらない。
それは地殻変動のように、
有権者による「議会・行政への変化」
を求める意向が日増しに強まっているからである。
こうした大きな変化に乗り遅れれば、
おのずと淘汰されていく。
民の意志を的確につかむ姿勢を
怠らないようにしたい。
まずは、事業仕分けの実施という、
第一弾の取り組みが終了したが、
落ち着いている暇はない。
既に気持ちは次に向けて動き始めている。