• 「猫の手貸します」

早いもので、もう4月が4日も過ぎた。

英国から帰ってきて、
様々なことを整理するとともに、
日常復帰にむけて残務整理をしている最中である。

そんなおり、
先日、ある障害者施設の施設長と
意見の一致した話を記しておきたい。

まだまだ、思考段階だが、
何らかの形にしていきたいと考えている。

その「意見の一致した話」とは、
「学生の職業実習制度」についてである。

障害者施設でも仕事のなり手が、
なかなか「いない」という。

しかし、施設長の次の言葉に即座に共感した。

「教育実習生が、うちの施設にくるんですよ」

そんな言葉で始まった話。
まとめると以下の様な内容だった。

大学の教育実習生たちが、施設に来る。
初めて見る重度の障害者たちに、
学生達は最初、戸惑いどころか、
「人間だとは思わない」という。

見たことがなければ、
どう接していいかも解らないだろう。

ところが。

施設で渋々、教員の資格を得るために、
障害者と時間を共にしているうちに、
「彼らを人間だと実感できるようになる」。

こうして実習を終える学生達。

なかには。

この経験に大きな影響を与えられ、
障害者施設の職員という立場で
社会人となる選択をする学生も少なくないという。

ここで。

ここまでの話を聞いて、
私は
「学生達にこうした施設で
実習をする制度があったらいいと思うのですが」
と切り出した。

田中秀征先生の提唱する
「学生の3つの実習制度」を踏まえてのことた゛。

すると。

施設長は間髪入れず、
「そうそう、それだ!」
と応じた。

こんなことを考えられないだろうか。

こうした福祉の現場で
人員不足となっている現状は、
ひとまずおいておきたい。

子供達の積むべき経験の話である。

私たちの社会の子供達の生活、
子供の生きる環境に決定的に欠けていること。

それは社会の実像・現場に触れる機会ではないか。

学校で学ぶことのほとんどは、
教科書の上でのことである。

高校生くらいになると、
アルバイトをする学生も出てくるが、
一定の数に留まるし、
自分で働きやすいところ、
もしくはお金を稼ぐことを第一義的に考えて選ぶ。

残念ながら、福祉施設や農業などの体験は、
ほとんどの学生が大学を卒業するまで
経験することなく社会人となる。

社会全体に「きつくて低賃金」という
先入観があるから、
それを敏感に感じ取った学生達は、
ますます敬遠する。

福祉施設も農業も、
私たちの社会には欠かせない、
なくてはならないものた゛。

社会の根幹をなすといってもいい。

若い感性でその現場で汗をかくことで、
某かの社会性を身につけることとなるだろうし、
中には、この現場こそが自分の生きる場であると実感し、その担い手となる者もいるだろう。

もちろん人手不足の解消も
その先の効果として見据えているものの、
第一義的には、学生の経験を積む機会として、
実習を教育過程に組み込んだらどうかと思う。

民主主義を充実させるためには、
欠かせない制度となると思うのだが。

今後もこの件を深めていきたい。