• 変わらず ブレず 前へ 未来へ。

原発事故について、
私なりに時間を割いて関心を寄せてきた。
それは私が直接的に責任を負う、
さいたま市にも深く関わりがあるからである。
一つには、もちろん、私たち自身が
事故の不利益を被る可能性があるからだ。
もう一つは、
福島原発から発電された
電気の恩恵を被る立場の私たちは、
責任者であり、当事者でもある、
という認識に立っているからだ。
このうち、後者については、
先ほどの福島からの避難者に丁寧に接するべき、
という趣旨の項でも述べている。
前者については、
政府の発表、そしてそれに対し、
様々な立場の人が、
それぞれの立場で分析し、発信している。
それらのうち、
現時点で私が認識していることを、
私の主観とともに記しておきたい。
あくまで3月21日現在である。
まず。
政府の公表内容について。
一国の要の菅総理、親交があり期待を寄せている枝野官房長官、
いずれも、情報提供においても各種の対処においても、
不充分で後手後手に回っている、と受け止めている。
原発の話だけではないが。
少なくとも原発事故の件では、
何が起きているのか、
そして最悪の場合で何が想定され、
段階に応じて何をすべきなのか。
個人が判断できる材料を、
積極的に提供するべきだったし、
今後もそれを心掛けるべきだ。
国民を信頼していれば、
この点は可能なはずだ。
「安全」を連呼し、不足する説明が、
所々で国民の小パニックを起こしつつあることも、
肝に銘じてほしい。
次に。
人間への害。
「放射性物質」から発せられている、
強い力を持つ「放射線」が、
私たちの細胞のにあるDNA、
つまり人体の設計図を書き換えてしまう。
それにより、癌や白血病が引き起こされる。
原子力発電所は、
私たちの生活に必要な電力を提供してくれる、
というプラス面もあれば、
人体にマイナスの影響をもたらす面も持っている。
さらに深刻なのは、
この放射性物質のうち、
毒性が人間の寿命よりはるかに長いのではないか、
という猛毒も多種存在している。
これらの物質は、
目に見えないほど小さく、臭いもないため、
食物連鎖の中に侵入し、
水俣病で起きたようなことが生じる可能性もある。
チェルノブイリ原発の影響を受けた地域は、
今も人が入ることが禁じられている。
では。
今、何が起きているのか。
福島の原発で事故が起きているわけだが、
そこで爆発が数度起きている。
爆発の種類。
①核爆発、つまり臨界による爆発と、
②凄まじい熱により生じた水素による水素爆発、
③水が蒸発して爆発する水蒸気爆発の3ケースある。
このうち。
チェルノブイリで起きたのは、
①の核爆発。
また原発の本質を端的に言うと、
「緩やかな核爆発を起こすように制御している」
(武田邦彦教授)ということとなる。
今回の福島で起きているのは②の水素爆発。
この爆発自体は、
現場で怪我をされた方以外は、
直接的な影響はない。
しかし、この爆発に連動して
放射性物質が福島原発の敷地外に飛散している、
または、時折上がる煙に交じり随時飛散している、
という状況のようだ。
爆発で破損した建屋の空いた所から、
放射性物質が出(続け)ている。
現時点での様々な分析を総合すると、
福島では、どんなに酷いケースでも、
①の核爆発は起きないだろうとされている。
設備自体が、そうした事が起きないように、
設計されているようだ。
現場も、もし打つ手がなくなったとして、
再臨界の最悪の事態が起きないようには対応するだろう。
日本の科学分野の先端を行く方々が、
数百名も集まって対応しているのだ。
では、現在懸念されていることは何か。
私たちがどのくらい被曝しているのか、
という点である。
私は福島原発周辺の方々、
と首都圏の私たち、
と同じ人間でも居場所により、2種に分けて置きたい。
まず福島の原発の周辺の方々。
福島原発の周辺はすでに相当に危険度が高いようだ。
ご存じのとおり、
20キロ圏内の住民はすでに避難指示が出ている。
福島原発内にある「放射性物質」が強い放射線を発する面と、
原発外部の周辺に降り注いだ「放射性物質」が、
住民に直接身体に付着したり、食物に付着したりして、
強い放射線を発したりしており、
現時点で健康を害するほどの放射線の値が検出されている。
放射能を物質として見つけ出し、
それを除去することができず、
毒性は、あくまで放射線の線量で図る。
ガイガーカウンターという機械で。
放射性物質の有無は、その線量により、
あたりをつけて除去することとなる。
基準値以上の値がでると、
放射性物質を体から落とす作業を必要とする。
上着を預け、シャワーを浴びるために、
自衛隊設営のテントに入す姿が報道されている。
このようにして人体に放射性物質が
取り込まれないように配慮されている。
誰かが「花粉症の対策と同様」
という趣旨のことをいったらしいが、
毒性は異なるにしても、
対策は確かに酷似しているかもしれない。
ただ、福島やその周囲の方々、
特に現在屋内退避している方々や
避難の支持が出ていない地域の方々は、
自ら情報を収集し、
判断して行動した方がいいかもしれない。
武田邦彦教授によれば、
政府発表を安心して
聞いていられる状況ではないようだから、
それぞれが冷静に判断し、
行動する段階なのかもしれない。
では、首都圏。
ちなみに、さいたま市は、距離にして、
福島第1原発から約200キロ強離れている。
東京はもっと遠い。
すると、さすがに福島原発内にある
放射性物質から発せられる放射線ではなく、
煙に混入するなどして原発外に飛散した放射性物質が、
周辺部分に飛んでやってくる、ということとなる。
原発事故後、これまでにさいたまや東京で、
放射線の高い値が出たという事実があったが、
毒性の強い放射性物質が
飛散してきた可能性が高いのだろう。
被害は「風」に左右されるということである。
また、雨や雪により濃縮され、降り注ぐというから、
今後は、雨・雪・風には注意を払いたい。
では。
現在までのところ、
私たちは、安全なのかどうか。
テレビの報道番組によると、
ある研究機関が、
この10日間の調査を行なった。
その結果、次のことが分かった。
●検出された放射性物質は「ヨウ素」「セシウム」
●うち「ヨウ素」が大半でセシウムは微量。
●これらはガス化するものであり、
 その特性で風に乗って飛散した。
●それ以外の物質は特に検出されていない。
飛散してきたのは、
ほとんどが「ヨウ素」だということだ。
このヨウ素。
半減期が「8日間」。
つまり毒性が半減するのが8日である。
少し待つと、毒性は消えていく。
現時点では、首都圏は、
どうやら冷静に生活することのできる段階のようだ。
今後は、飛散する量をどれだけ少なくできるか、
または皆無にできるか、ということだろう。
消防などによる放水は、
冷やすには頼りなさそうに見えて、
こうしたガス化した放射性物質を、
外に飛散させない作用があるという。
ただ、今後、気になるのは、特に3号炉。
ここにはプルトニウムなど、
毒性の特に強い物質が存在している。
これが大きな爆発で舞い上がり、
たまたまその時に風向きが東京方面であれば、
その放射性物質群が飛散して降り注ぐ、
そんな危険なシナリオは現実にはあり得ないのだろうか。
いずにれしても、首都圏は、現状では、
生活に支障をきたすことはないようである。
今後起こりうる水蒸気などの爆発により、
大量の放射性物質が風や雨に乗ってやってくる時が、
要注意かも知れない。
放射線量の推移に注目だ。
現在の作業がうまくいけば、
これ以上リスクは大きくならないわけだから、
それが一番望ましいことだ。
今後はしばらく、
現場の方々に頑張っていただき、
推移を見守るしかない。
さて。
もし、この件が終息したからと言って、
全て解決ではない。
福島原発周辺の住民は、
安全確認ができるまでの長期間、
避難を余儀なくされる。
また、周辺には確実に放射性物質が降り注いでおり、
原発周辺部の農業、漁業、畜産業には、
大変な被害をもたらすだろう。
さらには、私たちも、いずれ、
まわりまわって、今回放出された
放射性物質が混入した食材を
口にする可能性も少なくない。
こうした後々に起こりうる各種の課題が、
今すでに見えてきている。
さらには、原子力政策、ひいてはエネルギー政策も、
日本の国の生き方とともに
大々的に議論していかねばならないだろう。
今回の一件は日本のみならず、
原子力路線を取ろうと軌道修正していた各国に、
衝撃を与えた。
それぞれで議論が積み重ねられていくだろう。
私は、すぐさま何が何でも原子力を廃止しろ、
と言えるだけの材料を持ち合わせていない。
中東に90%以上の依存をしている石油をメインに、
電力量の確保をすすめるなら、
中東の政治的不安定さや、
投機筋に翻弄される石油の価格、
将来の埋蔵量など、
これも国の命運を握るエネルギーの
安全保障の面では危ういこととなる。
天然ガス発電の可能性は、
あったとして、莫大な投資を必要とするし、
すぐには困難だろう。
中長期の課題なのだと思う。
電気がなくてもいい、
電気は調達できるだけでいい、
と嘯く人もいるが、
病院等で生命にかかわる電力、
インターネット等情報通信の電力、
企業活動の電力…
電力に大事なものまで預けている現状を、
私たちは享受してしまっているのだ。
節電はできても、
大幅な「削電」はこれまた困難ではないか。
皮肉にも今回の停電が、
私たちに気づきを与えてくれた。
電気がどれだけありがたいものか、を。
だから、国民的議論のできる環境は整ったと考えている。
国民も原子力の負の部分も含め、
ここでしっかり学習しているはずだ。
今後のエネルギーの在り方は、
国民的な議論ののちに見えてくるに違いない。
以上、そんなことまでを頭に巡らせている。
最後に一つ。
現在、現場において作業している
人たちの命を賭した覚悟の行為は、
深く記憶に刻んでおきたい。