就任したばかりの菅大臣が、
消費税を10%に増税する旨の発言をした。
参議院選挙の公約として
位置付けることを容認したという。
私は大きな違和感を覚えた。
まず、一丁目一番地の無駄の削減など、
歳出削減はどうなったのか。
マニフェストに言う「国会議員の削減」などは、
すぐにでも着手できるのではないか。
私も消費税は、
将来の日本の有力な財源であることは理解している。
しかし「このタイミングでそれを言うか」という気持ちだ。
「足りないから出してほしい」
と国民に投げかけるには明らかに時期尚早だ。
何より「増税の前にやることはある」はずではないか。
自ら昨年8月に約束した
歳出削減はほとんどできていない。
その一方で子ども手当や高校無償化などの
新規の負担増は推し進めている。
これで財源が足りないという資格があるのだろうか。
事業仕分けはまだ始まったばかり。
これを確実に予算で
目に見えるような反映をしなければならないはず。
また、何を根拠に「10%」なのか。
「とりあえず10%」だとしたら、
余りに軽はずみだ。
それとも二大政党の一方の自民党と肩を並べるためか。
選挙対策のための公約ならば、興ざめしてしまう。
将来の推計を基に
どんな負担をどれだけ国民にお願いするのか、
これを示し、説明したうえで、
それを踏まえて発信するべきだろう。
増税による経済への影響も、
当然念頭に置かねばならないし、
増税による財源確保の発言が、
行政改革意欲を低下させることを危惧している。
既得権益は維持され、
古い体質が残されてしまう。
財政難は、抜本的な改革のチャンスをもたらしている。
まずは行政の姿を大きく変化させることだ。
行政は行政のすべきことに特化するべきだ。
単なる数字合わせの財政改革に終始してはならない。
将来の人口減少や不確実性の高い日本社会を展望し、
それでも持続性を担保できる社会づくりを
視野に入れなければならない。
そうした本質的な点に切り込むことができないうちに、
消費税増税の具体的な発言に踏み出すとは。
期待をしてただけに、
前途多難な印象を持っている。