越谷市議会で費用弁償が廃止されたという。
「費用弁償」とは。
一日議会に出席すると○○円支給、
という出席手当のようなもので、
交通費や昼食代が念頭に置かれている。
私が議員となってすぐに、
この手当は不要だと感じた。
報酬が支給されているのに、
二重支給ではないか、と。
当時、浦和市議会で5000円支給されていたが、
さいたま市議会にも引き継がれていた。
2003年にさいたま市議に当選して以来、
ともに活動した無所属議員らとともに、
一貫して、「廃止」を主張してきた。
最終的に、さいたま市議会は、
2007年2月議会において廃止を決定。
2007年から始まるこの任期では、
すでに支給されていない状況だ。
このような議員特権については、
できる限り生活者の感覚でとらえ、
不断の見直しをしていく必要を感じている。
時代の転換期。
税収が不安定な中、
公的な待遇を受けている私たち議員は、
まずもって自分たちの特権に厳しくあるべきだ。
でなければ。
行政改革を主張する資格を失ってしまう。
社会の持続可能性を念頭に、
大胆な行政改革が、
政治家主導で行なわれていく。
市民に痛みの伴う事業の廃止や削減を主張したり、
市民にさらなる負担をお願いする。
自分たちの特権には手をつけず甘い、
そんな風に受け止められてしまったら、
市民の理解は得られない。
その結果、行政改革は進まず、
社会の存続が危ぶまれる状況に陥る。
そんなことで、
自ら身を削る姿勢は欠かせないと考えている。
こうした中。
さらなる特権廃止の動きが出てきた。
この6月議会の最中に、
新たな提案がなされた。
「議員年金の廃止」。
これをさいたま市議会を発信元として、
意見書を国に対して上げていく、
という内容。
この提案を、
私の所属会派「民主党・無所属の会」で
行なったのである。
議員年金は、
●都道府県
●市議会
●町村議会
の3種存在する。
私たちさいたま市議は、
「市議会」の共済組合に
強制的に加入することとなっている。
この議員年金は国会で作る法律で
決定されているもの。
法律を改正したり廃止したりする権限がない以上、
現時点で私たちができることは、
国に意見を述べて意思表示することだ。
そもそも問題なのは。
この年金に公費が投入されており、
それがさらに値上げをしなければ
制度が存続できない可能性が出てきている、
という点だ。
これまで議員年金の財源は、
おおよそ5:5で議員の掛け金と公費が
充てられてきた。
この公費割合がさらに増える、
という方向性が検討されているのだ。
私は元々廃止したほうがいい、
と考え、公言もしていた。
もちろん議員の自前の掛け金のみで
運営される年金ならば、
存続の大義名分を保てるだろう。
問題は公費、つまり税金の投入がある点。
それも相当額に上っており、
さらなる負担を国民に求める、という点だ。
どう考えても、
廃止・抜本的見直しは必須である。
こんなことを背景にして。
この6月議会にて、
我が会派は意見書案を提出するに至った。
廃止を公言していた私も驚くほど、
会派所属議員の意識は高かった。
残念ながら。
その意見書案は、
議会運営委員会の理事会での協議において、
議会全体の賛同を得られなかった。
しかし。
この行動は今後のさいたま市議会、
そしてそれにとどまらず、
全国の議員特権の廃止・抜本見直しに
大きな影響を与える第一歩となるだろう。
特筆すべきは。
この提案が私のような無所属議員ではなく、
民主党所属の市議会議員からなされたという点だ。
国の民主党は、存続の意思を示しているのだ。
一方のさいたま市議会の民主党所属議員は、
廃止を主張している。
民主党所属の自治体議員にも、
存続派が多数を占めている現実がある。
そんな中、さいたま市議会の民主党所属議員たちは、
政党の中枢や所属議員の大勢とは異なる判断をし、行動をした。
思い出すのは2000年。
森内閣が国民の信頼を失い、
支持率が急落する中、
神奈川の自民党県連が独自の意思表示をしたことが、
小泉内閣の構造改革の
呼び水となったことは記憶に新しい。
同じ政党だから、
といって唯々諾々と従う必要はない。
政党所属の自治体議員。
ナショナルパーティの政党に足場を置くが、
その自治体の有権者にも足場を置いている。
どちらに重きを置くか、
その時々での主体的な判断が求められる。
今回の件。
こうした前向きな判断と行動のできる同僚を、
尊敬し、ともに行動できることを誇りに思う。
元来、「行政改革」と「議会改革」が、
無所属である私の、
会派合流の大きな動機だった。
今、改革推進勢力として、
私たちの会派は、
この方向性を積極的に推し進めている、
と自負している。
これまでの流れの中で、
市長の誕生に貢献し、
その結果議会審議が活性化するなど、
議会改革も進んできた。
市長主導の行政改革も
形を整えつつある。
市政の流れは舵を切った。
議員特権廃止を選挙のための活動、
と矮小化しないよう慎重にしつつも、
議員自ら身を削る姿勢は欠かせない。
その先には、行政のあり方を
抜本的に変えていく「本筋の行政改革」
を見据えている。
秋には会派主催の「事業仕分け」も予定。
私たち民主党・無所属の会の改革は、
まだまだ続く。