• 「猫の手貸します」

d52dbaef.jpg議会での、その日の用事がすべて終了したのが、夜9時ごろ。

出口の見えない委員会運営の打ち合わせや膨大な資料の山との格闘により、ヘトヘトになっていた。少し重たい頭で、帰途に着くために車に乗った。注意力が散漫状態で事故の危険性を感じ、いつも以上に慎重にゆっくりと運転していた。

と。

ケタタマシイ音で、消防車と救急車が複数台、私の進行方向とは逆側方向に去っていく。もう5分で自宅に着くような場所にいたが、躊躇なく直進すべき道を右折し、車輌の方向を追い掛けた。持ち前の好奇心に火が付いてしまったのだ。その時にはすでに重たい頭がすっきりとしていたようだ。

ハンドルを握る。何度も見失ったが、闇夜をツンザク複合音がどの場所たるかをすぐに知らせてくれた。その都度、窓を開けて聞き耳を立てる。はやる気持ちを抑え、もちろん制限速度も信号も守りながらの運転である。

やがて車が進めなくなった。前方には先ほどの消防車群。

そこは。

パルコの見える浦和駅東口そば。私の来た車線は通行止め。その場所から撮影したのが写真。私がそこに到着した後にも、各方面から次々に到着する消防車。

議員には「警戒区域 立ち入り許可票」が配布されている。いざという時には何らかの役に立てるかもしれない、そう思い、車をUターンさせ、細い道から車を走らせた。数分行き、車を止めて飛び降りて、人だかりの場所に向かう。

その間に、あまりにも多くの消防車と複数台の救急車、そしてパトカーまでが停車していた。みな、赤い回転灯を回しているから、視覚的にもただ事ではないことが起きてるいることが判る。

心配で通りに人が集まっている。その視線が一点を見つめている。そこが現場であると雄弁に語っていた。その人の群れのそばに立つ。

その先には、約10階建てくらいのマンション。まだ新しい。その住人たちも階段などに出てきて心配そうにしていた。その一階右端の部屋に消防隊員が出入りし、そこはスポットライトが照らされていた。

道路では消防団員が大声を張り上げ交通整理をしている。周辺の会話を漏れ伝え聞くと、火事があったが、すぐ消し止めてコトナキを得たとのことだった。消したのはご近所の方で、若手の女性たち。消化器持参で消し止めたとのことだった。

さて。

この火事の報道は、一日遅れで各紙埼玉版に掲載された。

なんと。

この場所以外も含め、2カ所でボヤがあったという。不審火で放火の可能性が強い、とのことだった。なにより大きな火災にならなかったのが不幸中の幸いだった。