富士見市で開催された事業仕分け作業に、仕分け人として参加。ヒタイに滴るのは、夏の汗なのか、はたまた手に汗握る汗なのかは、不明だが、白熱した展開だった。
写真はその模様。中央のロの字型の机の右側、一番手前の誰も座っていない席が私の席だった。
今回は、二斑に別れ、各10事業、計二十事業を二日間、つまり「合計40事業」が仕分け作業の対象となった。
特筆すべきは、市民が判定人を務める点。公募でも傍聴者からでもなく、「無作為抽出」で選ばれた人の中から、二日間で計79名が市民判定人となった。終了後の感想は、「勉強になった」「また実施してほしい」という好意的なものだった。
さて。
私が担当した班で、最初に行なった仕分け作業の2つの事業について。これは、まさに仕分けの意義を象徴するような議論となった。
一番目の「学校給食」。直営である。給食センターに勤め、調理を担当する職員は10人が公務員。ちなみに学校給食調理は、給食を提供する準備と、その後始末以外は仕事がない。つまり平日の早い時間と夕方の時間、そして夏休みや冬休みは、仕事がないのだ。
公務員だから、8時半から17時までが、勤務時間だ。そして給料は…。この時間枠にしたがって支給されるから、他の役所で勤める公務員と大差ない給料が支給される。行政関係者の話では、洗浄の仕事を作るためにトレーを新たに導入したとか。非効率極まりないのが調理業務における直営方式である。こうした非効率を解消するために、多くの自治体で民間委託している。ちなみにさいたま市は、全自校化・全民間委託化をほぼ終えている。
以上、まとめると、この事業では、10人の行政職員を、このような形で「浪費」していることが明確になった。
一方。
二つ目の事業。教育相談事業。障害教育の推進を柱としてスタートしたこの事業は、年を追うごとに、イジメや不登校といった多種多様な相談を受けるようになった。相談件数は、年間軽く1000件を超える。
では。この重要な事業に携わっている職員は何人か。正規職員1人(二人が兼務)、臨時職員が3人。ますます専門性を高め、キメ細やかに対応しなければならない相談業務が、脆弱な体制で運営されている。説明員の担当者の話では、毎年予算要求をしているが、一向に増額されないのだという。
このやり取りの最中に、仕分け人の一人が、声を荒げた。「こんな重要な事業にこれだけしか人がいない。一方で先程の事業を思い出してください」
つまり必要性の高いと思われる事業の職員や資金は不足しているのに、時代にそぐわない事業が今だ残されている。
一方は直営で行政職員本位の事業運営がいまだ行なわれている。その一方で、重要度の高い子どもに関する相談事業が脆弱な体制のままだ。
行政改革の本質は、選択と集中にある。限られた資源(ヒトモノカネ)をどう有効に使用するか。この議論が行なわれてこなかったことの証明である。これは富士見市に限ったことではない。さいたま市も替わりはない。
今回の取り組みを通じ、事業仕分けが「本筋の行政改革」の実施に有効な手法であることを、改めて確認した。