■10月25日(木)〜26日(金)
■環境経済常任委員会
■テーマ
【25日:京都市】
①ごみ有料化
②バイオディーゼルプラント見学
【26日:名古屋市】
③ごみ減量の取り組み
環境経済委員会では、
この一年を通じて特定のテーマを定め、
研修・協議・視察などをしている。
テーマは「ごみ減量化への取り組み」。
今回の視察はこの一環におかれたもの。
事前に研修で有料化などの話を聞くとともに、
視察先の情報を把握しての視察であった。
★ ★ ★
①京都市:ごみ有料化
京都市は温暖化への取り組みを明示した
「京都議定書」で有名だ。
この立場から、ごみの徹底した減量化策を図っている。
その一環として有料化が昨年11月からスタートした。
今回の視察では、その有料化の導入経緯や
その後の状況について説明を受けた。
時間が限られており、
説明を聞くにとどまったが、
平成9年の京都議定書採択後の
京都市のごみ減量への取り組み、
その一部として位置づけられた
「有料化」のプロセスについて聞くことができた。
鍵を握るのは、
住民への粘り強い説明だったという。
まだ一年だが、導入後、順調に効果が現れているという。
とくに有料化した場合の「リバウンド」について、
つまり最初は減量されても次第に元に戻る、
という意見に対しては、
「指定袋の料金の設定の仕方」などで工夫することにより、
減量の効果を維持できると担当者は応えた。
②京都市:バイオディーゼルプラント見学
新燃料車の一つとして注目されている「バイオディーゼル車」。
この燃料の生成プラントを見学した。
プラントは京都市のはずれの焼却場の敷地内に位置している。
7億5000万円かけて、
他で既設されている従来のものよりも
高度な技術を備えたプラントを造ったそうだ。
家庭で使用された家庭系廃食用油を収集し、
精製してバイオディーゼル燃料(BD)を生産する。
京都市においては当燃料は、
市内のゴミ回収車220台、
市バス95台(20%混合)、
2台は100%で実験的に使用されている。
こちらも時間が短く、
実用のプロセスと現状を聞くにとどまったため、
課題や今後についてを聞くことができなかった。
新エネルギー車については、
国などからの補助金がつく時期は導入しやすい。
しかし、市場で持続性があり、
実用性があるエネルギーとなるかどうかは未知数だ。
この施設建設費や人件費を含めたランニングコスト、
これを回収できるほどの生産効率が上がるのか。
市場でどのくらいこの燃料が受け入れられていくのか。
この燃料を原料とする車が出回らなければ、
新燃料としての期待はできない。
世界的な動向はどのような状況か。
このエネルギーについては、あまり聞いたことが無い。…
担当者に連絡しそのあたりを聞くなど、
今後も掘り下げていきたい。
さいたま市では「天然ガス車」を実験的に導入している。
こちらも天然ガスステーション設置への補助金がなくなるなど、
実現性には黄色信号がともっているところだ。
かといって、すぐさま批判の対象とするには時期尚早だ。
今、温暖化など大きな問題を抱える中、
自家用車の与える環境への負荷は多大なものがある。
そして自動車ほど未知の技術開発の
可能性を秘めているものもないだろう。
ハイブリッド車はすでに市場を席巻している。
現在、国・大手自動車企業などが
プラグイン自動車などの開発に乗り出すことが表明されている。
公共交通普及への声も上がるが、
自家用車への世界中のニーズは依然として高い。
これは今夏の欧州視察でも目の当たりにしてきた。
石油資源に依存する現在のエネルギー事情を
解決するための実験的試みは、
許容する段階である。
ただ、配慮すべきは、
今は実験的な取り組みを行政内部にとどめずに
市民と共有し、
お互いにじっくり考えていくことだ。
③名古屋市:ごみ減量の取り組み
名古屋市は、
平成11年2月「ごみ非常事態宣言」を出した。
背景には最終処分場建設の中止があった。
ここから名古屋市は多様な減量策に乗り出すこととなる。
レジ袋の有料制、不法投棄の監視、
「エコクーぴょん」などの取り組みが行なわれた。
最終処分場の建設のめどは立っていないが、
住民と根気強く話をしていくという。
ごみ有料化については、
その抑制効果を評価しているが、
現在のところ緊急性を感じず、
導入する予定は無いという。
自治体により、有料化の導入の有無はまちまちだ。
環境省が自治体に向け、
「有料化すべし」の言葉を向けて以来、
全国の自治体は有料化の道を歩み始めているが、
名古屋市は安易にその路線にはのらなかった。
私も個人的には有力なごみ減量方法であるし、
ごみ排出量に応じた負担であることから
より公平性をもたらすこと、
なにより住民との話し合いのきっかけとなることから、
導入への前向きな考えを持っている。
ただ、導入する時期や仕方によってはまったく意味の無い、
単なる住民負担を増加させることで終わってしまう。
これならばまったく意味を成さないから、
事前の充分な調査や検討画必要とされる。
名古屋市は、
有料化するかしないか、
という視点では、
京都市とは異なったごみ減量政策。
両者を掘り下げるとともに、
まだ導入していない
さいたま市の現状を合わせて更なる研究を深めたい。
★ ★ ★
昨今視察に対する批判が高まっている。
観光や慰安的要素の強い従来の視察については、
批判されて当然である。
今回の当委員会の視察は、
こうした批判に対し、
その内容やスケジュールにおいて、
充分に応えうるものだったのではないか、
と考えている。
視察に臨む各委員の積極的な姿勢も、
これまでとは異なるものだった。
こんなことは当たり前のことで、
今までが酷すぎたことは言うまでもない。
私も議員任期の7年目を迎え責任も感じている。
今後もこうした真剣な視察の実現、
さらには行政に対し主体性のある議会の確立に
最大限エネルギーを注いでいきたい。