■『日本への遺言』
■後藤田正晴著 毎日新聞社
■『時代の証言者 戦後政治』
■中曽根康弘著 読売新聞社
両著とも、戦後政治に
大きな影響を与えてきた著者による。
戦前から戦中、戦後約60年の
それぞれの歴史が克明に記されており、
読み応えがあった。
▼後藤田氏は、平和主義を貫き、
晩年はその点について、
戦争の体験者の立場から特に強調していた。
憲法や平和主義、官民の役割分担などに関する考えは、
日本の社会にとって大きな遺産となっている。
本著には、TBSの「時事放談」での
いくつかの言葉が記載されている。
とくに、
「国民はね、賢いよ。
すべてお見通しだよ」
という言葉は政治に携わるものとして、
忘れてはならない言葉だ。
私は後藤田氏の憲法観や歴史認識から
多くを学んでいる。
※後藤田氏は昨年8月に亡くなられています。
▼中曽根氏は、
現実主義であり独立心を持った立場で、
戦後の混乱期からの日本政治を担ってきた。
本著には、中曽根氏から見た
戦後政治史が記載されている。
一貫した憲法改正への姿勢や、
占領下の日本において、
精神的、伝統的な側面を取り戻そうとする主張、
その時々の時代を見る目には
学ぶべきものが少なくない。
総理大臣となるために、
役職には就かず、
じっくり準備を進めていたというエピソードは、
意外であった。
自身の政界進出の経緯、
保守合同や安保改定時の混乱、
田中政治の実情、
レーガン大統領下の米国との交流など、
興味深い記述が記されていた。