• 「猫の手貸します」

文書偽造等問題、中間報告 5項目
今回→■0.総括「納税者(市民)への不利益」という視点で考える
■1.最も大きな問題の情報開示の文書偽造
■2.年度をまたぐ事務処理を改竄した件
■3.不正の温床とみられる「同一金額」契約の件
■4.H23の収賄事件の再発防止の新「事務手続き」が実施されず
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■0.総括「納税者(市民)への不利益」という視点で考える
私が重視する視点は「納税者主義」である。
この任期を付託される選挙でそう掲げ当選した。
納税者(市民)の視点に立ち、
この問題を分析し、
課題解決に向けて行動していくことが
私に要請されていることだと受け止めている。
そんなことから、
今回の調査に臨席する上でもっとも関心を割いたのが、
「納税者(市民)への不利益は生じたのか」
という点である。
ここでは総括的に、
3つの点にわたり今回の事件の私なりの考えを記した。
1.情報開示における文書偽造は市民に不利益をもたらした
2.今回の事件の裏側に税金の過支出や癒着は生じたのか
3.本質にあるのは組織のマネジメントという問題

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1.情報開示における文書偽造は市民に不利益をもたらした
「情報開示の際の文書偽造」のことであるが、
これがもっとも深刻だと考えている。
全体で「2件」確認されたが、
今回、内部の改竄やミスを隠すために、
行政組織の外にいる市民に要求された文書を、
書き換えてから開示したのだ。
1件でもこうしたことがあると、
「行政は都合が悪いと情報を改竄して市民に流す」と疑われ、
今後「この文書は偽造したものかもしれない」という疑いが、
発信されたあらゆる文書において、ついてまわることとなる。
行政組織全体に波及する深刻な信頼の失墜である。
詳細は、当ブログ次項に譲りたい。

2.今回の事件の裏側に税金の過支出や癒着は生じたのか
市民の不利益、ということで言えば、
・税金を多めに業者に渡していないか、
・職員と業者の間で癒着し何か不正なやりとりは生じていないか、

という視点も調査の際に重視した。
文書を改竄をするということは、
その裏側に何か明らかにしてはならないような、
行政職員としてはあるまじき不正が生じているのではないか、
という疑いが湧いてきたのである。
細かく見れば、
(1)あってはならない「分割発注」が少なくない
(2)随意契約は最高額「99万7500円」での契約が半数以上存在
(3)工事が終了しない段階での業者への支払い
(4)年度内に工事が終了したように文書を改竄、
もしくは文書がそもそも存在していない
(5)年度末の3月に一年間の工事が集中している

など数々の事務処理上の不正が生じていた。
これらすべて不適切な事務処理と言える。
後に当該職員は行政内部において処分されるだろう。
ただ私は、数々の不正が生じたこんな時ほど感情を排し、
冷静に事の背景や本質を見るべきと考える。
それが今後同様のことが生じないようにするために、
そして、それによる市民の不利益を生じさせないために、
最も重要だと考えるからだ。
そんな姿勢で後のブログ、
■2.年度をまたぐ事務処理を改竄した件
■3.不正の温床とみられる「同一金額」契約の件
■4.H23の収賄事件の再発防止の新「事務手続き」が実施されず
の項目において、それぞれこの件の原因や背景を詳しく記したい。
ここでは結論だけを記す。
まちづくり委員会での検査・調査を経た立場として、
「業者への税金の過支出」

「職員と業者が過度に癒着をする不正」
は生じていないだろうとの判断に至った
ものである。
調査の過程では、以下の件が確認された。
行政内部の調査委員会では、
・県警から派遣された警察官も委員に加わっている
・顧問弁護士等にアドバイスをもらっている
・当事者への聞き取りと現場の目視を実施している

などの直接的、客観的な調査をしてきていること。
ここまで幅広く深く調査してきて、
刑事事件に発展するようなケースが表出していないということは、
そこまでの不正はなかったのだろう、という想像ができる。
また、職員の仕事の環境としては、
・東日本大震災、原発事故発生という、この年の特別な事情
・修繕という特殊性
・一人の職員への過度な仕事の集中
などの考慮すべき特殊事情が存在
していたこともある。
さらに、今後このまちづくり委員会の調査(検査)の過程は、
委員会記録が議会HP上で公開されると思われるが、
全て公開の中で、かなりの詳細までを
議員と行政職員とのやり取りで明らかにしている。

これでは都合の悪いことを隠すことはできないし、
もし嘘をついていたとすれば、
後に市を挙げての大問題となるだろう。
もちろん事務検査という性格上、
私自身は、提示された文書には、ほぼ全てに目を通したが、
不正に繋がるようなものは目にしなかった。
こうしたことを総合的に勘案し、
上のような判断に至ったものである。
ただ、まだ議会も行政も調査は継続されており、
現時点での、ということも付け加えておきたい。

3.本質にあるのは「組織のマネジメント」という問題
名誉のために言うならば、
全体で見れば、さいたま市の行政職員は、
これまでだらだらと仕事をしてきたわけではない。
もちろん不正など前提としていない。
市民のために役割を果たそうと汗をかいてきた。
そんな姿を私自分の目ではっきりと見てきている。
情報開示で改竄してもいい、
という環境にあるわけでもない。
制度がそれを禁じている。
不正どころかミスが生じないよう、
研修は数々あるし、
コンプライアンス推進課まで設置して、
法令遵守を進めてきた。
各種の制度や研修などが、
職員の行動を一定の規律の中にとどめることになっていたはずだ。
それなのに事件は起きた。
そんなことから、この事件の本質は、
「ルールは定められ、研修は実施されており、
それを組織として回していくための
マネジメントの欠陥がもたらした事件」

なのではないかと考えている。
平成22年に岩槻環境センターを舞台に発生した収賄事件は、
市職員の逮捕、という衝撃をもって報じられた。
その教訓から二度と同様の不正が生じないよう、
事務処理の明確なフローを確立して実施した元年が、
まさに今回の事件の舞台となった年である「平成23年」であった。
つまりは、その教訓が汲み取られていなかった。
問題が生じた時、制度や組織を変えれば、
問題は解決したと考えられていないだろうか。
研修をすればその後全てうまくいくはず、
と認識されていなかったか。
むしろそれらはスタートであって、
その後が重要となるのは言うまでもない。
では。
「あれは一部の職員の問題だ」
とあくまで職員の個人的な行為であるとし、
その特殊性に原因を置くべきだろうか。
他の職員には起き得なかったのか。
ここに、その答えとなる重要な言葉がある。
「南部公園事務所の誰かが
不正を指摘していれば起きなかったこと」

調査の過程で、職員幹部から発言された。
マネジメント上の欠陥を裏付ける何よりの証左である。
この事務所の職員すべてが、
担当者の不正をやめさせることができなかった。
その不正に「気づいていた」のに、である。
一職員のオーバーワークを
補佐する支援体制も築き得なかった。
一人の不正が生じても、
その組織の誰かが止めることができれば、
今回のように世に出るようなことはなく、
未然に防ぐことができたはずである。
まさに組織の一員としての自覚、
その組織の使命を踏まえる姿勢が、
組織ぐるみで欠けていたのではないか。
事は、その末端組織にとどまらない。
さいたま市の行政組織において、
マネジメントの元締めは「さいたま市長」である。
私は清水勇人が進める改革の応援団として、
あえて厳しい言葉を選びたい。
今回の件の深刻さと責任を、
もっと市長は自覚すべきだ。
市長はこの問題について、
自らの為すべきことを熟考し、リーダーシップを発揮して、
それぞれの組織が機能するための空気を醸成していくべきだ。
私は今後の市長の「真剣さ」に注目している。